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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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世界史のミラクルワールドーヒンドゥー教の神々・グプタ朝

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 前180年にマウリヤ朝が滅亡して以来、インドは約500年の分裂状態が続いたが、4世紀に入り、マウリヤ朝と同じマガダを拠点としたグプタ朝が起こった。その創始者もマウリヤ朝と同じ、チャンドラグプタ1世を名乗っている。都も同じパータリプトラ。チャンドラグプタ1世は320年にガンジス川流域を統一、「インドのナポレオン」と呼ばれた第2代のサムドラグプタは北インドをほぼ統一し、続くチャンドラグプタ2世の時には、かつてのアショーカ王の支配領域と同じ広さを支配し、全盛期を迎えた。

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『ラーマーヤナ』

 クシャーナ朝の異民族支配を一掃したグプタ朝の下で、民族意識の高まりとともに、一時影響力を失いかけたバラモンが復活し、インド古典文化の黄金時代を迎えることになった。宮廷ではサンスクリット語が公用語とされ、カーリダーサがサンスクリット語で戯曲『シャンタラーク』を著すなど、サンスクリット文学が盛んになった。また、『マヌ法典』によりヴァルナ制が強調され、サンスクリットの二大叙事詩『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』などが長い時間をかけてほぼ現在伝えられるような形に完成した。

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ハヌマーン

 『ラーマーヤナ』の主人公はコーサラ国の王子ラーマ。ランカ島(スリランカ)に住む魔王ラーヴァナに妻シータ姫を奪われたが、猿王ハヌマーンの助けを得てこれを取り返すというお話。猿・犬・雉を連れて鬼ヶ島に鬼退治に行った桃太郎のお話の原形ではないかとも言われている。この猿王ハヌマーンはヒンドゥー教の神となって信仰され、インドの街角に赤い顔をして立っている。

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ブラフマー神

 さて、そのヒンドゥー教はバラモン教に仏教や先住民の土着信仰が融合されて成立したもので、いわゆる三大神を見るとそれがよく分かる。まず、その一つが創造神のブラフマー神。ウパニシャッド哲学でいう宇宙の根本原理であるブラーフマナーが神格化したもので、バラモン教出身の神さまだ。三大神に数えられてはいるが、その重要性は低くあまり人気がない。その理由は後でね。

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ヴィシュヌ神

 次に、ヴィシュヌ神は宇宙を護持する神として崇拝されている。慈悲深い神で、仏教の慈悲の影響も考えられる。主要な土着神を化身として取り込んだので、クリシュナを始めとしてたくさんの化身を持っており、先ほどのラーマは7番目、わがブッダは9番目の化身である。だからヒンドゥー教徒の立場からすれば、僕たちはブッダの姿をとったヴィシュヌ神を拝んでいることになる。

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         タイの国章               インドネシアの国章 
 
 ヒンドゥー教の神さまにはヴァーハナという乗り物があり、ヴィシュヌ神のヴァーハナはガルーダという鷲だ。タイとインドネシアではガルーダが国章となっており、インドネシアの国営航空会社はガルーダ・インドネシア航空だ。このガルーダが仏教の守護神となったのが迦楼羅【かるら】といって、これが天狗になったとも言われている。

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シヴァ神

 さあ、そして三大神の中で最大、最強の神がシヴァ神だ。シヴァ神はインダス文明の頃から信仰されていたようで、土着信仰出身の神だ。宇宙を破壊し焼き尽くす役割を演ずるとともに、破壊した宇宙を再び創造する慈悲深い神でもある。つまりブラフマー神の役割まで取っちゃったわけだ。ブラフマー神が要らなくなったわけだ。

 シヴァ神はヒマラヤ山中で苦行しつつ天の聖河ガンガーの水を頭髪の中に受け止めて、大洪水から人間世界を守る神である。その頭髪を伝わって落ちた水がガンジス川なんだそうで、頭の天辺から噴水みたいに吹き出しているのがそうだ。

 シヴァ神のヴァーハナ、乗り物は左にいる白い牛のナンディ。最も崇拝するシヴァ神の乗り物だから牛も神さま扱いされて、インド人は絶対に牛を喰わない。

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 シヴァ神は舞踏の創始者ともされ、ナタラージャ(舞踏者の王)の別名でも呼ばれていて、世界史の教科書に載っているのはこっちの姿がほとんど。この写真は4本腕、3眼のシヴァ神が陶酔状態でエネルギッシュに踊る姿を現している。踊るシヴァ神を取り巻く円形の火炎は宇宙の破壊を、手の形は保存を、右手に持つ小太鼓は創造をそれぞれ意味し、宇宙の破壊・維持・創造が永遠に繰り返されていくという宗教思想がこの像に表現されている。

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        カーリー                 パールヴァティ

 シヴァ神は地方的に信仰を集めていた多数の神を自分の一族として抱え込むという方法で、信者の輪を広げた。シヴァ神の奥さんとして有名なカーリーはもともと地母神であり、髑髏のネックレスをしているように、シヴァ神の恐ろしい面を代行した。また、もとヒマラヤ山脈の住民に信仰されていた山の女神パールヴァティも妃神とされたが、彼女は優しい豊穣の女神である。

 カーリーを祀った寺院がコルカタ(カルカッタ)にあり、コルカタはカーリーが訛った地名である。この寺院の近くで「死を待つ人々の家」を開設し、道端で亡くなっていく人々に救いの手を差し伸べ、ノーベル平和賞を受賞したのがマザー=テレサであった。

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 シヴァ神とパールヴァティーの息子で、学問・商売の神として日本でも人気のあるのがガネーシャだ。なんで像の頭になったかは省くとして、足許に鼠がいるのにお気づきだろうか。ガネーシャのヴァーハナ、乗り物は鼠だ。像が鼠に乗るというのは違和感があるが、崇拝する鼠を食べる猫をインド人は嫌う。だから、インドで猫を見かけることはめったにない。ちなみに、ガネーシャは仏教とともにわが国に渡来し、歓喜天【かんぎてん】になっている。

 長くなったので、グプタ朝時代の仏教については次回お話するね。

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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2019/03/10 08:14 】

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コメント

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破壊神シバは実は大黒天のモデルになっていると聞きます。法華経に出てくるかんじざい天はシバに置き換えることができます。ハマヌーンが弘法大師だという人がいますがこれは嘘です。日蓮聖人の開目しょうに書かれてあるビシュニ信仰は間違いであると指摘されています。
平松こういん  *  URL[編集] 【 2019/03/10 08:35 】
--- 大衆部はどんな派があり何をし、なぜ、消滅したのか? ---

アショカ王が、どんな改革を行い、大衆部が衆生をどう教化しようとして、結局、Hinduに取って代わられたのか? 

上座部ばかりが伝わっているのでしょうが、もし、何か分かれば、教えて下才。団勞喝
北野正一  *  URL[編集] 【 2019/03/10 12:36 】
--- Re: 大衆部はどんな派があり何をし、なぜ、消滅したのか? ---

部派仏教は上座部系11部派と大衆部系9部派がありますが、上座部はスリランカに伝えられて発展したため、残ったと思われます。インドで大きな力を持ったのは説一切有部ですが、存在を有としたため、大乗仏教から激しい攻撃を受けました。いずれにしても、仏教はカーストを認めないため、どのカーストに所属せず、したがって一般民衆の葬儀などの儀礼に拘わることをしなかっため、民衆の支持を失っていったものと思います。勉強不足ですので、こんなお答えしか出来ません。専門書をお読み下さい。
ホンジュン  *  URL[編集] 【 2019/03/10 16:17 】

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