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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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法華経陀羅尼品第26 多聞天・増長天・十羅刹女・鬼子母神の陀羅尼

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 すると、多聞天王 たもんてんのう(ヴァイシュラヴァナ大王・毘沙門天 びしゃもんてん)が、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、私も、それらの説法者たちの幸福と安寧のために、それらの説法者たちに対する憐みのために、それらの説法者たちの守護と、擁護と、防護のためにダーラニーの句を説くことにしましょう。すなわち、
 
 アッテー、タッテー、ナッテー、ヴァナッテー、アナデー、ナーデジ、クナディ、ス
 ヴァーハー(
薩婆訶 そわか)。

 世尊よ、これらのダーラニーの句によって、私は10ヨージャナ(約150㎞)の距離のところにあって、それらの説法者たちのために守護をなしましょう。このような経の受持者であるそれらの良家の息子たちや、良家の娘たちのために守護がなされるであろうし、幸運の増進がなされるでありましょう」 
 
 その時、増長天王 ぞうちょうてんのう(ヴィルーダカ大王・鳩摩羅什訳では持国天になっている)がまさにその集会に参加して坐っていて、幾100・1000・コーティ・ナユタものクンバーンダ鬼たちに囲まれ、敬われていた。その増長天王は、座席から立ち上がって、上衣の左肩を残して右側の一方の肩だけあらわにし、世尊のおられるところに向かって合掌して敬礼し、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、私もまた、多くの人々の安寧のために、ダーラニーの句を説くことにしましょう。そのようなそれらの説法者たちや、このような経の受持者たちの守護と、擁護と、防護のために、ダーラニーの神呪を説くことにしましょう。すなわち、
 
 アガネー、ガネー、ガウリ、ガンダーリ、チャンダーリ、マータンヤ、プッカシ、サ
 ンクレー、ヴルーサリ、シシ、スヴァーハー。

 世尊よ、これらのそのダーラニーの神呪は、42・コーティものブッダたちによって説かれたものであります。このような説法者たちを凌駕しようとする人は、それらのブッダたちのすべてに敵意を抱いていることになるでありましょう」
 
 
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 ハーリーティ―(右)とパンチカ(パキスタン・ペシャワール博物館)

 すると、ランパーという名前の羅刹女 らせつにょ(ラークシャシー)や、ヴィランパー、クータ・ダンティー、プシュパ・ダンティー、マクタ・ダンティー、ケーシニー、アチャラー、マーラー・ダーリー、クンティー、サルヴァ・サットヴォージョーハーリー、そして息子や、従者に伴われた鬼子母神 きしもじん(ハーリーティー)という名前の羅刹女ーそれらのすべての羅刹女たちが、世尊のおられることろに近づいた。近づいてから、声を一つにして世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、それらの説法者たちの欠点を探し、欠点を求めようとしても、決して誰もつけ入る機会を得ることがないように、私たちもまた、このような経の受持者たちや、説法者たちの守護と、擁護と、防護をなしましょう。それらの人たちのために好運の増進を図りましょう」と。

 そこで、それらの羅刹女たちは、すべて声を一つにしてそろって一緒に唱和して、世尊にこれらのダーラニーの神呪を捧げた。すなわち、

 「イティ、メー、イティ、メー、イティ、メー、イティ、メー、イティ、メー。ニメ
 ー、ニメー、ニメー、ニメー、ニメー。ルヘー、ルヘー、ルヘー、ルヘー、ルヘー。
 ストゥヘー、ストゥヘー、ストゥへー、ストゥヘー、ストゥヘー、スヴァーハー。

 〔説法者の頭ではなく、もしろ私の〕この頭に登るとしても、誰であれ、説法者たちに敵対する意志を抱くようなことがあってはなりません。ヤクシャ(夜叉)であれ、ラークシャサであれ、餓鬼であれ、ピシャーチャ鬼であれ、プータナであれ、クリティヤであれ、ヴェーターダであれ、クンバーンダ鬼であれ、スタブダであれ、ウマーラカであれ、ウスターラカであれ、アパスマーラカであれ、ヤクシャのクリティヤであれ、人間以外のクリティヤであれ、人間のクリティヤであれ、一日おきに起こる熱病であれ、二日おきに起こる熱病であれ、三日おきに起こる熱病であれ、四日おきに起こる熱病であれ、連続して起こる熱病であれ、不規則に起こる熱病であれ、たとえ夢の中にいる人にとっての女の姿であれ、男の姿であれ、少年の姿であれ、少女の姿であっても、説法者たちを悩ますことをしてはなりません。それらの鬼たちのいるべき場所は、説法者たちのいるところには見いだされないのであります」

ダウンロード
 
 そこで、それらの羅刹女たちは、声を一つにしてそろって一緒に唱和して、次の詩によって世尊に語りかけた。

 「実にこの呪文を聞いて、それでも説法者を凌駕しようとする人があるならば、その
 人の頭はアルジャカの樹の花房のように7つに裂けるでありましょう。
 
 説法者を凌駕しようとする人は、母を殺害する者に属する道、また父を殺害する者に
 属する道を突き進むでありましょう。

 説法者を凌駕しようとする人は、胡麻の油をしぼる者に属する道、そして胡麻を打ち砕
 く者に属する道を突き進むでありましょう。

 説法者を凌駕しようとする人は、はかりによって重量を偽る者に属する道、そして測定の
 際に数量を偽る者に属する道を突き進むでありましょう」

 このように言って、クンティーをはじめとするそれらの羅刹女たちは、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、私たちもまたこのようなそれらの説法者たちの守護をなしましょう。それらの説法者たちのために好運の増進、棒で殴られる刑罰を受けないですますこと、毒の効能を消失させることを、私たちはなしましょう」と。

 羅刹女たちからこのように言われて、世尊は、それらの羅刹女たちに次のようにおっしゃられた。
 
 「ご婦人方よ、素晴らしいことである。素晴らしいことである。この法門の名前だけでさえも受持する説法者たちの守護と、擁護と、防護をあなたたちがなそうということは。

 ましてや、この法門を完全に獲得して受持するか、あるいは写本に作りなされたものに恭敬し、花や、末香、薫香、花環 はなわ塗香 ずこう、焼香、衣、日傘、旗、のぼり、勝利の旗によって、あるいは胡麻油の燈明、酥油 そゆの燈明、香油の燈明、チャンパカ油の燈明、ヴァールシカ油の燈明、青睡蓮 すいれんの燈明、スマナスの燈明ーこのような幾100・1000もの多くの種類の供養の実行によって、恭敬し、尊重する説法者たちにいては言うまでもないことである。クンティーよ、あなたは、それらの説法者たちを侍者たちとともに守護するべきである」

 ところで、この「ダーラニーの章」が説かれている時に、6万8000の生命あるものたちに何ものも生ずることはないという真理を認める知(無生法忍 むしょうぼうにん)の獲得があった。

 以上が、聖なる「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門の中の「ダーラニーの章」という名前の第21章である。    (陀羅尼品第26おわり)

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【 2023/04/28 05:29 】

第21章 ダーラニー(陀羅尼品第26)  | コメント(0)  | トラックバック(0)  |

法華経陀羅尼品第26 薬王菩薩と勇施菩薩の陀羅尼

 第21章 ダーラニー(陀羅尼品 だらにほん第26)

ダウンロード (1)

 その時、薬王 やくおうという偉大な人である菩薩は、座席から立ち上がって、上衣の左肩を残して右側の一方の肩だけをあらわにし、右の膝頭を地面につけて、世尊のおられるところに向かって合掌して敬礼し、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、良家の息子であれ、良家の娘であれ、この「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門を体現するか、あるいは写本にするかして、受持する人は、どれほどの福徳を生ずるでありましょうか?」
 
 薬王菩薩にこのように言われて、世尊は次のようにおっしゃられた。
 
 「薬王よ、良家の息子であれ、良家の娘であれ、誰であっても、80のガンジス河の砂の数に等しい幾100・1000・コーティ・ナユタものブッダたちを称讃し、尊重し、供養する良家の息子、あるいは良家の娘は、その理由によって、どれほど多くの福徳を生ずるであろうか?薬王よ、あなたは、それをどう考えるか?」

 薬王菩薩が言った。

 「世尊よ、多いでしょう。人格を完成された人よ、多いでしょう」
 
 世尊がおっしゃられた。

 「薬王よ、私はあなたに告げよう。私はあなたに知らせよう。良家の息子であれ、良家の娘であれ、誰であっても、「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門から、4つの句で構成された詩をただ一つでさえも受持し、読誦し、理解し、その後さらに修行によって完成するならば、その良家の息子、あるいは良家の娘は、その理由によって、より多くの福徳を生ずるであろう」

 すると、薬王菩薩は、その時、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、私たちは、「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」というこの法門を体現したり、あるいは写本にしたりするそれらの良家の息子、あるいは良家の娘たちに、守護と、擁護と、防護のためのダーラーニー(呪文)の
神呪 じんじゅを与えるでありましょう。


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 アニイェー、マニイェー、マネー、ママネー、チッテー、チャリテー、サメー、サミ
 ター、ヴィシャーンテー、ムクテー、ムクタタメー、サメー、アヴィシャメー、サマ
 サメー、ジャイェー、クシャイェー、アクシャイェー、アクシネー、シャーンテー、
 サミテー、ダーラニ、アーローカ・バーシェー、プラティヤヴェークシャニ、ニディ
 ルアビヤンタラ・ニヴィシュテーアビヤンタラ・パーリシュッデームトクレー、
 ムトクレー、アラデー、パラダー、スカーンクシ、アサマサメー、ブッダ・ヴィロー
 キテー、ダルマ・パリークシテー、サンガ・ニルゴーシャニ、ニルゴーニ、パヤーパ
 ヤ・ヴィショーダニ、マントレー、マントラークシャヤテー、ルテー、ルタ・カウシ
 ャルイェー、アクシャイェー、アクシャヤ・ヴァナターイェー、ヴァックレー、ヴァ
 ローダ、アマニヤナターイェー、スヴァーハー(
薩婆訶 そわか

 世尊よ、これらのダーラニーの神呪の句は、62のガンジス河の砂の数に等しい多くの世尊であるブッダたちによって説かれたものであります。このような説法者たちや、このような経の受持者たちを凌駕 りょうがしようとするならば、その人は、それらの世尊であるブッダたちのすべてに敵意を抱いていることになるでありましょう」

 
そこで、世尊は、薬王菩薩に讃嘆の言葉を与えられた。

 「薬王よ、素晴らしいことである。素晴らしいことである。あなたは、説法者である衆生のために利益をなしたのだ。衆生に対する憐みの故にダーラニーの句を告げて、守護と、擁護と、防護をなしたのである」

 そこで、勇施 ゆぜ(施すことに勇敢なもの)という偉大な人である菩薩が、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、このような説法者たちの欠点を探し、欠点を求めようとしても、決して誰もつけ入る機会を得ることができないように、私もこのような説法者たちの利益 りやくのために、ダーラニーの句を与えることにしましょう。すなわち、ヤクシャであれ、ラークシャサであれ、プータナであれ、クリティヤであれ、クンバーンダ鬼であれ、餓鬼であれー欠点を探し、欠点を求めようとするものが、つけ入る機会を得ることがないように」と。

 その時、勇施菩薩は、次のダーラニーの神呪を告げた。すなわち、

 「ジュヴァレーマハー・ジュヴァレーウッケー、トゥッケー、ムッケー、アデー、
 アダーヴァティ、ヌリティイェー、ヌリティヤーヴァティ、イッティニ、ヴィッティ
 ニ、チッティニ、ヌリティヤニ、ヌリティヤーヴァティ、スヴァーハー(
薩婆訶)

 世尊よ、これらのダーラニーの句は、ガンジス河の砂の数に等しい正しく完全に覚られた尊敬されるべきブッダたちによって説かれ、喜んで受け容れられたものであります。このような説法者たちを凌駕しようとするならば、その人は、それらのすべてのブッダたちに敵意を抱いていることになるのであります」(つづく)

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【 2023/04/25 05:23 】

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