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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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スジャータ村と社長の家-ブッダガヤ③

2月25日(木)

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 7時40分、ホテルを出発しスジャータ村へ。スジャータ村はネーランジャラー川(尼蓮禅河【にれんぜんが】)の東岸にあり、ブッダの時代はセーナ村といったが、現在はスジャータ村と呼ばれている。スジャータは成道前のブッダに乳がゆを供養してブッダの命を救った少女の名前。「褐色の恋人スジャータ」という「めいらくグループ」が発売しているコーヒーフレッシュがあるが、乳つながりで命名されたそうだ。
 僕の後ろに見えるストゥーパはスジャータの徳を讃えて、8~9世紀に建立されたものと言われているが、この場所にスジャータの住まいがあったそうな。

 29歳で出家されたブッダはスジャータ村の南にあるウルヴェーラーの林で、6年間の苦行に打ち込まれたと伝えられる。苦行の原語はサンスクリット語のタパスで、本来「熱、熱力」を意味する言葉。身体を傷めつけて精神を鍛えることによって、身体の中に特殊な熱力、神通力が蓄積されると考えられていた。ブッダは一粒のゴマや米などによって日を過ごされたり、食をまったく断たれたりして、座ろうとすれば後ろへ倒れ、立とうとすれば前に倒れるほど厳しい苦行に励まれた。

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 その結果、有名なパキスタンのラホール博物館の苦行像のようなお姿になってしまわる。眼窩【がんか】恐ろしく骸骨のように大きく落ちくぼみ、身はやせ細り、肋骨が1本1本浮き出て血管が走り、腹部は木の空洞のように深くくぼみ、腕は枯れ枝のように細く、死ぬ寸前の状態になってしまわれた。

 しかし、ブッダが求めていた人生の苦を根本的に解決する智慧は得られない。苦行は心身を極度に消耗するのみであるとして苦行を捨てられたブッダは、ネーランジャラー川で沐浴されます。この時、セーナ村の少女スジャータが乳がゆをブッダに供養し、これによってブッダは体力を回復された。 

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 スジャータは古代インドの女性名で、“良い生い立ち、素性”を意味するそうだが、僕は世界史の授業で彼女をシュードラの娘として紹介している。バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラの4階級からなるヴァルナ制では、穢れということを重視するので、階級の違うものが同じ場所で食事をしたり、階級の下位の者から食事を受け取ってはならない。ブッダはもちろんクシャトリヤだから、シュードラの娘スジャータが差し出す乳がゆを受け取って食してはならない。だから、乳がゆを食べられたということは、ヴァルナ制、つまりカーストを否定する高らかなる宣言であった、と。

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 乳がゆは牛乳にお米と砂糖を入れて煮込んだもので、カロリーは高い。でも、甘くて僕の口には合わない。スジャータホテルの夕食の時にも用意されていたが、手は出さなかった。

 ブッダと共に苦行に励んでいた5人の修行者がいたんだけど、ブッダが森を出て乳がゆを食べる姿を見て、がっかり。「あいつは苦行を放棄した。あいつは堕落者だと」とあきれて、彼のもとを去り、ムリガダーヴァということろに行ってしまう。ムリガダーヴァは現在はベナレス郊外のサールナート。そう、この5人こそがブッダの初転法輪の相手となった。

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 乳がゆで体力を回復されたブッダは、このあと 瞑想するためにプラ・ボーディギリという山の中腹にある洞窟に登った。ところが、座ろうとした途端に山が3回にわたって震動したそうだ。山の神が出てきて、「この山は悟りを開かれるのにふさわしい場所ではありません。この地の南東にあるアシュヴァッタ樹の下がふさわしい場所です」と、告げたそうだ。で、ブッダは場所を移して、ブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開かれた。そんなわけで、今はこの山を前正覚山【ぜんしょうがくざん】と呼んでいて、スジャータ村からは二こぶ駱駝の背中のように見える。

 テレビ朝日の「池上彰のニュースそうだったのか!!!実は知らない宗教のこと」で、池上さんは「ブッダが悟りを開く前にこの洞窟で修行したから前正覚山と 言うんです」と言ってたけど、池上さんでも間違えることあるんですね。

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 スジャータ村からの帰りにネーランジャラー川に立ち寄ったけど、ご覧の通り今は乾期なので、水は全く流れていない。一度でいいから滔々と流れるネーランジャラー川を見てみたいんだけど、いつまたインドに来れるか分からないしね。遙か向こうに大精堂が見えてるね。

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 スジャータ村とブッダガヤの町を結ぶ橋が長さ800メートルのスジャータ・ブリッジ。確か小泉首相の時に日本のODAによって建設された。これで、スジャータ村に行くのが随分便利になった。ありがとうね、小泉さん。

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 8時25分、ラジギールまでの道中が長いのでトイレを拝借するためにプラサド社長のお宅に寄らせてもらった。4階建てのまあ立派なお家。ここにプラサド一族が暮らしている。玄関に入ったら陳列棚に数珠の山。ここでも商売しようとする根性は見上げたもんだ。

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 ご近所さんのお宅も拝見。牛が餌を食べ、鶏が餌をついばむ横で、子守。長閑だね~。
 
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 おや、壁になんか丸いもんが貼ってある。そう、これが有名な牛糞ケーキ。牛糞をわらと混ぜて丸くしたものを家の壁に貼り付けて乾燥させてるんだ。1週間ほどしてそれがカラカラに乾くと、料理などの煮炊きに使う燃料となるんだけど、よく燃えて火むらが少なく、しかも長くもつという優れものだ。15年前にも社長のお宅に来てるんだけど、その時は社長さんのお宅でも牛糞ケーキ使って、お湯を沸かしてたけど、今でもまだ使ってるんかね。インドは乾燥してるから臭くないと言いたいんだけど、やっぱりそこはかとなく臭います。

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 近所のおばさん達と子供。ナマステ~。

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 こちらにも、ナマステ~。お婆ちゃん、赤いサリーがお似合いですよ。

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 おやっ、子供達、今から登校ですか?もう8時45分だけど、学校何時から?

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 おやっ、こちらはバスで登校ですか。きちっと七三に分けて、ヘアスタイル決まってますね。行ってらっしゃ~い。

 僕らもおしっこも済ませたし、さあラジギールに向けて出発だ。(つづく)

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【 2016/09/20 17:45 】

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スジャータ・ホテル-ブッダガヤ②

2月24日(水)

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 午後6時、ホテルに到着。今晩泊まるお宿はスジャータ・ホテル。2回目のインドからず~っとお世話になっているホテルだ。真ん中にお立ちになっているのが社長のプラサドさん。

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 部屋はまずまず小綺麗。

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 プラサド社長は日本人の気持ちをよく理解している人で、このホテルには日本式の浴場がある。暖簾があって、提灯に男湯、女湯なんて憎いね。

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 夕食は7時30分からなので、ゆっくり湯船につかって疲れを取りたいところだが、そんな余裕はない。


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 何故かって?学校の授業をさぼって来てるんで、生徒達にお土産買って来るって、約束した。生徒さんは80人。日本で予めネットで探して見つけたのがガネーシャのキーホルダー。ガネーシャは学問の神様でもあるんで、生徒にはぴったり。値段も日本で400円程なので、現地インドでは200円程度だろうから、しめて16,000円。

 ちょっと予算オーバーだけど、まあいいか、というわけで、インドについてから探すけど、見つからない。昨日泊まったホテルの売店で、インドの神さまのマグネットが100ルピーであった。これでもいいかなと思い、買おうとした50枚しかない。諦めた。

 で、お昼にホテルに着いた時に社長にガネーシャのキーホルダー80個、予算は1個100ルピーで頼んでおいた。ところが社長が探して来たのが、可愛らしい像さんのキーホルダー。値段を聞いてびっくり。1個500円だって。それじゃ4万円もかかっちゃう。安くしてくれと入ったら、仕入れ値が450円だから無理と言われて、キャンセル。

 そんな訳で、今日中に何とかしないといけない。なんせ明日からもっと田舎になるから、いいお土産が買える可能性が低くなる。早々にシャワーを済ませて、一人町へ出た。

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 マハー・ボディ寺院までの道筋にある屋台の土産物屋を物色して、やっとのことで見つけたのがブッダのメダル。裏には大精堂が刻まれている。チェーンは付いてないけど、財布にでも入れて学業お守りにしてもらえばいいや。値段を聞いたら1袋1ダース入っていて、500ルピー。1個80円くらいだ。それから値段交渉に入る。あまり時間がない上に、日本語が通じない。メモと電卓で交渉。

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 その結果、9ダース6,000円でゲットした。1個57円。ラッキー、随分と安あがった。

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 午後7時30分からの夕食に何とか間に合った。今日のメニューはタンドリーチキンに卵カレーとキーマカレー。卵カレーなんて日本にはない。このホテルの部屋は普通だけど、料理は美味い。

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 ビールのおつまみにはマサラ・ピーナッツ。(ちょっとピンぼけ)

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 飲み物はいつものキング・フィッシャーにウィスキー、ラム酒に焼酎、梅酒まである。それにしても呑兵衛のグループだね。

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  お腹もふくれ、お酒もいっぱい飲んで満足したところでお買い物。まず、奥さんのお買い物に付き合って、値切り交渉。相手はサンジャイ・クマール君。日本語が堪能な青年で、このホテルに泊まった時の買い物交渉は彼が相手になる。奥さんの職場の皆さんへのお土産に象さんの絵を選んだんだけど、酔っぱらっての交渉だから、果たして安く買えたのかどうか怪しいもんだ。

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 サンジャイ君とは帰国後にFacebookで偶然見つけて友達になったんだけど、えらい商売熱心でなんだかんだと画像を送ってくる。ちょっと興味を引かれたのが、初転法輪仏。でも、日本の港までの運賃も入れて70万円はちょっと手を出しにくい。サンジャイ君はお金はいつでもいいですよ、と言うが、そうはいかない。それにしても、日本語の質問の日本語で返ってくるんだけど、サンジャイ君は日本語の読み書きも出来るのか?

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 ところで、スジャータ・ホテルにあの池上彰がブッダガヤの取材で泊まったそうだ。Wエンジンのチャンカワイや宮澤エマも一緒だったようだ。写真はサンジャイ君のFBから拝借。どうせなら宮澤エマちゃんと記念写真撮れば良かったのにね。撮影のようすはテレビ朝日で8月13日に「池上彰のニュースそうだったのか!!!実は知らない宗教のこと」で放送されたが、ブッダガヤまで来ていながら流れた映像はほんの数分。わざわざご本人が現地まで来る必要あったんかね。

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 もう一人僕の買い物の交渉相手になるのが、ラフル・アグラワール君。プラサド社長の兄貴の息子さんで、京都外国語大学を出て、左京区の田中下柳町でマーヤという名前のインドレストランのオーナーも努めている。4月にいよいよ結婚するそうで、旅費を出すから披露宴に来てくれと言われたけど、「2月から3月にかけて10日間も学校休んでるんで、無理だよ」と返事しておいた。

 ところが、4月5日にビハール州政府が禁酒令を施行した。飲酒が家庭内暴力(DV)を増加させ、女性被害の温床になっているとの理由からだそうだ。したがってラルフ君の披露宴にはアルコールはいっさい出されず、しょむない披露宴になったようで、行かなくて良かった。アルコールの無い披露宴なんて、クリープを入れないコーヒーみたいなもんだ(ちょっと古いか)。

 ところで、禁酒はホテルに宿泊している外国人にも適用されるそうで、酒なくて生きてゆけない我々がビハール州に来るのもこれが最後になるかも知れんな~。

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 部屋に帰ろうとしたら社長さんがお呼びだとラケーシュ君が言って来た。何事かと社長の部屋に行ったら、おもむろに鍵の掛かった引き出しから取り出して来たのが沈香。超最高級の沈香だそうで、1g3,000円。「えっ、そんな高いの、要らないよ」と言ったら、社長のねちねちとした話が始まった。

 「どうせ片町に飲みに行ったら一晩で1万も2万も使うでしょ。飲んでおしまい、何も残らない。そんなくらいだったら、この沈香を買っておけば宝もんだよ」「でもお香は焚けば、煙になって消えちゃうよ」

 「社長のホテルは今日も超満員。儲かって笑いが止まらんでしょ。僕から金儲けしなくても」「今はシーズンだからね。1年のうち4カ月だけ。1年の3分の2は閑古鳥が鳴いてるよ。なにしろ私には100人の社員の家族を食べさせていかんならん責任があるからね」

 とにかく、ああ言えば、こう言う。日本人の気持ちをよく知っているから、痛いところをちくちくと突いてくる。ガネーシャのキーホルダーを探してもらった弱みもあって、結局13gを20,000円で買った、いや、買わされた。

 7月のお葬式で使ってみたけど、そんなに香り良くなかった。騙されたんかな~。いや~、そんな悪い人間じゃなかろう。いや~、でも普通の沈香みたいだしな~。いや~、いや~、どっちかな~。(つづく)

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【 2016/09/04 17:28 】

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