なまぐさ坊主の聖地巡礼
プロフィール
Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。
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デーヴァダッタ(提婆達多【だいばだった】) 後編
まず、手はじめに新たに国王となったアジャータサットゥにブッダのところに刺客を差し向けるように頼んだ。(アジャータサットゥが国王となったいきさつについてはまた後でね)。国王に命ぜられた刺客たちが剣と盾、あるいは弓と矢を持ってブッダの命を狙った。ところがブッダの前に出ると彼ら刺客たちの心は怯え、身体は硬直してぶるぶると震え出してしまった。ブッダのオーラに圧倒されてしまったんだね。
それを見たブッダがにこやかに「友よ、恐れることはない」と声をかけたもんだから、彼らは武器を放り出してブッダの足下にひれ伏し、ブッダの帰依者となってしまった。ミイラ取りがミイラになっちゃったわけだ。エルバ島を脱出したナポレオンに対して国王ルイ18世が討伐軍を送った時、ナポレオンは討伐軍の前に立ちふさがり、「兵士諸君! 諸君らの皇帝はここにいる! さあ撃て!」と叫んだという。兵士たちはナポレオンの足下にひれ伏して寝返り、ナポレオンはなんなくパリに入城して皇帝に返り咲いた、という話を思い出すね。
手塚治虫『ブッダ』
デーヴァダッタは刺客たちがブッダの殺害に失敗したのを知り、悔しがった、それならば自分の手でブッダの命を絶とうと決心する。ある時ブッダが霊鷲山【りょうじゅせん】の山道を歩いている時、デーヴァダッタは山上から大きな岩を転がしてブッダの命を奪おうとした。ところが落とされた岩は峰と峰の間に挟まって支えられたので、ブッダの命に別状はなかった。だけど、その岩のかけらが足に当たり、ブッダは傷を負ってしまった。これを出仏身血【すいぶつしんけつ】と言っている。
ブッダは山上のデーヴァダッタに「お前は汚れた心を持ち、さらに不善の業【ごう】を積むなり」と言ったという。このデーヴァダッタの仕業を知った修行僧たちは驚き、ブッダのまわりを幾重にも取り囲んでブッダを守ろうと提案したそうだ。ところがブッダは、
「心配ない。ブッダは暴力をもってその命を奪われるものではない」、と諭したそうだ。
落石による暗殺に失敗したデーヴァダッタは、こんどはナーラギリという象を使った。ナーラーギリに大量の酒を飲ませ、身体を殴り、痛めつけ、激怒させ、頭を狂わせて、ラージャガハの街中を托鉢しているブッダに向かってナーラーギリを放した。カルタゴのハンニバルも象軍団を使ってローマを攻めたが、インドでも戦争に象軍団を使っていた。ナーラーギリは戦争用の象だったから、大変凶暴な性格で、町中を暴れ回り、あらゆる物を破壊しながら、ブッダに迫った。ブッダ危うし、ブッダの運命やいかに!
ところが、どうだろう。突進してきたナーラギリはブッダの前まで来ると急に耳や鼻をたれて静かに止まり、まるで飼い犬のようにブッダの前に跪いてしまった。凶暴な象さんも、ブッダのオーラに屈服したんだね。
ことごとく暗殺計画に失敗したデーヴァダッタは最後に、自分の爪の間に毒を塗り、ブッダを傷つけて暗殺しようとした。ところが自分の指先の小さな傷から毒が回り、自分が死ぬ羽目になっちゃった。なんと間抜けな奴なんだろうね。
デーヴァダッタはブッダを殺そうとしていたところを蓮華色比丘尼(ウッパラヴァンナー)という尼さんにとがめられて、彼女を鉄拳で殺害したとも伝えられており、これを殺阿羅漢【さつあらかん】と言っている。前回お話ししたブッダの教団と別の教団をつくろうとした分派活動を破和合僧【はわごうそう】、さっきお話しした出仏身血と3つ合わせて三逆罪としている。この三逆罪により、デーヴァダッタは無間地獄【むげんじごく】に墜ちちゃったそうだ。これぞ自業自得というやつだね。
『妙法蓮華経』の第12章は「提婆達多品」というんだけど、その章名の通りデーヴァダッタが登場してくる。
ブッダの過去世でのお話だ。
遠い昔、ブッダがまだ悟りを得ていない時に、本当の悟りを得たいと思って、一心に『法華経』の教えを求めていた。何度も生まれ変わり死に変わりして、その度に国王となって、ただひたすら『法華経』を求め、怠けることなく修行を続けた。ある時、王が「誰か私のために法華経を説いてくださるなら、私はその人の奴僕となって、死ぬまでお仕えする」と誓いを立てた。するとアシタ仙人が現れ、「あなたがその覚悟で修行するのであれば、私はあなたのために法を説いてあげよう」と申し出た。その言葉を聞いた王は大いに喜び、常に仙人の行くところに従って、薪【たきぎ】を拾い、水を汲み、木の実や草の実を採って、奴僕として仕え、身心飽きることなく精進を続けた。その結果ついに成仏することができた。
ブッダは仙人のお陰で本当の悟りを得ることができたと、自分の過去世の話をされたあと、驚くべき言葉を発した。
「爾【そ】の時の王とは則ち我が身是なり。時の仙人とは今の提婆達多是なり。……(中略)……
等正覚を成じて広く衆生を度すること、皆提婆達多が善知識に因るが故なり。」
ブッダの過去世でのお話だ。
遠い昔、ブッダがまだ悟りを得ていない時に、本当の悟りを得たいと思って、一心に『法華経』の教えを求めていた。何度も生まれ変わり死に変わりして、その度に国王となって、ただひたすら『法華経』を求め、怠けることなく修行を続けた。ある時、王が「誰か私のために法華経を説いてくださるなら、私はその人の奴僕となって、死ぬまでお仕えする」と誓いを立てた。するとアシタ仙人が現れ、「あなたがその覚悟で修行するのであれば、私はあなたのために法を説いてあげよう」と申し出た。その言葉を聞いた王は大いに喜び、常に仙人の行くところに従って、薪【たきぎ】を拾い、水を汲み、木の実や草の実を採って、奴僕として仕え、身心飽きることなく精進を続けた。その結果ついに成仏することができた。
ブッダは仙人のお陰で本当の悟りを得ることができたと、自分の過去世の話をされたあと、驚くべき言葉を発した。
「爾【そ】の時の王とは則ち我が身是なり。時の仙人とは今の提婆達多是なり。……(中略)……
等正覚を成じて広く衆生を度すること、皆提婆達多が善知識に因るが故なり。」
「その王は私の前身であったが、実は私に『法華経』を説いてくれた仙人とはデーヴァダッタの前身だ」と言うんだ。ブッダが悟りの境地に至って、人々を導くことができたのもすべて、あなた達が悪人だと思っているデーヴァダッタという善知識のお陰だと言うんだね。善知識というのは、自分をよい方向に導いてくれる人のことだ。たとえば、NHK朝ドラの「花子とアン」の花子にとってのブラックバーン校長のような存在。あっ、ご免。今の若い人は朝ドラ視ないか。
デーヴァダッタはブッダに害を与えた人間だから、僕たちの眼から見ると悪人だ。でも、ブッダはその悪人のことすら「自分の心を最高位、最上級のものにするために、あえてデーヴァダッタはこのようなことをした」と言うんだね。君たちの周りにも君に害を加える人間がいると思うけど、その人達も君にとってひょっとしたら善知識なのかも知れないね。そんな気持ちで接すれば、恨みが湧いて来ることはないよ。
そして、この後ブッダはデーヴァダッタに対し天王如来という仏となることができると証明を与える。ブッダを殺そうとしたり、教団を乗っ取ろうとしたりした、悪人の代表のようなデーヴァダッタだが、過去世においては善いことをした。それを現世で思い出してくれれば、無量劫【むりょうこう】という長い時間がかかるけれど、必ず悟りを得ることが出来ると断言する。これが「悪人成仏」だ。悪人であっても、自分の過去世を振り返り、自分が行って来たことを反省、懺悔【さんげ】するならば、かならず仏となることが出来る。『法華経』はそう教えている。僕達だって、ブッダになれるんだよ。

『愛の戦士レインボーマン』って、知ってるかな?今から40年ほど前のテレビ番組だから、知ってるわけないか。 ヤマトタケシがレインボーマンに変身して「死ね死ね団」と戦うとうお話なんだけど、タケシに七色の戦士「レインボーマン」の素質を見出して弟子とし、死に際にレインボーマンを伝授したのがダイバ・ダッタという聖者。インドの山奥に住む150歳の聖者なんだけど、デーヴァダッタがモデルだ。ちなみに、レインボーマンに変身する時の呪文が、阿耨多羅三藐三菩提【あのくたらさんみゃくさんぼだい】を3回唱えた後、「レインボー・ダッシュ・○○(化身の名前)!」と叫ぶんだ。阿耨多羅三藐三菩提というのは、サンスクリット語で「最高の悟り」のことだ。笑っちゃうね。(つづく)
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