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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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ブッダの弟子たち その20



ブッダを知りませんか?

ナンダ(難陀【なんだ】)

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 今回のお話の主人公はナンダ。ナンダといってもブッダの異母弟のナンダじゃないよ。「貧者の一燈」というお話は聞いたことがあると思うけど、この話の主人公がナンダという女の人だ。

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 ブッダが祇園精舎にいた時のことだ。シュラヴァスティーの城にナンダという一人の女乞食がいた。乞食【こじき】は差別用語とされて最近使われなくなったこともあり、この言葉を知らない若い子もいるみたいだけど、路上で物乞いをして生活している人たちで、まあホームレスに近いかな。今でもインドにはたくさんの乞食がいて、「バクシーシ」と言って近寄って来る。「バクシーシ」は日本語に訳せば「お恵みを」かな。1993年に初めてインドに行った時は、観光地でバスから降りるとあっという間に50人程の乞食が寄って来て、背中がゾクゾクってなったもんだけど、何回も行くうちに慣れちゃった。政府が強制的に排除しているのか、最近はめっきり乞食に会わなくなってしまった。つきまとわれなくて楽なんだけど、なんだか寂しい思いがするのは、なんなんだろうね。

 なんなんだではなく、ナンダの話だった。ある時ナンダは、国々の王や大臣、町の人々が、ブッダとその教団にさまざまなものを供養するのを見て、自分が貧しくて何も供養するものがないことを嘆き悲しんだ。しかし、たとえわずかな供養でもいいから、自分で行乞【ぎょうこつ】してこれを得ようと考え、朝早くから休むことなく町に出て乞食をした結果、ようやく1ルピーの金を手にした。(インドでルピーが使われ出したのは16世紀らしいから、ブッダの時代にはルピーはないけどね)

 喜んだナンダはその1ルピーを持って油屋に行き、燈火のための油を買おうとした。すると油屋の主人が、「1ルピーでは油を買うには少なすぎる。一体何にするんだ?」と聞いた。そこでナンダが、「みんながブッダに供養しているのに、私は貧しくて何も供養するものがない。だから、乞食をしてやっと手にした1ルピーなんです」と話した。すると主人は哀れんで、倍の油を分けてくれた。

 一燈を持ったナンダは、ブッダのおられる精舎に行き、他の人々が供養した燈火の中に一緒に置いた。そして、こう誓った。
「私はいま貧乏です。ですからこの小さな燈火しかブッダに供養することができません。願わくはこの功徳をもって、来世は智慧の燈火を得て、すべての衆生のために闇を除かんことを」
 誓い終わって精舎をあとにした。

 夜の更けるのにともない、それぞれが供養した1万にもおよぶ燈火が、一つ、また一つと消えていく。ところが、ナンダの供養した一燈だけはあかあかといつまでも燃えていた。

 これを見たブッダはこう言われた。
「この一燈の消えることはない。これは。広く衆生を救おうという大きな心を持った人の施した一燈だからである」

 それを後に聞いたナンダは歓喜し、ブッダのところへ行って跪き、出家の許しを乞い、ブッダはこれを許したそうだ。

 お寺や神社に行くと、多額の寄付をした人の名前を張り出してある場合が多い。もちろん、それはそれで尊いことなんだけど、どこかに慢心が見え隠れする。そして、そこには見返りを求める気持ちも……。ナンダの一燈が消えることがなかったのは、貧しいにもかかわらず心をこめて供養したということもあるけど、彼女が自分のためではなく他人のために祈ったからだよね。僕はそんな気持ちで供養したことあるだろうか?みんなはどう?(つづく)

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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2014/09/20 16:35 】

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