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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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ラジギール(王舎城)③-霊鷲山

2月25日(木)

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 午後3時45分、霊鷲山【りょうじゅせん】の麓に到着。われわれを迎えてくれたのは、ハヌマーンラングール。ハヌマーンはインドの二大叙事詩の『ラーマーヤナ』に登場する猿王、ラーマ王子を助けてランカ島に住む魔王ラーヴァナからシータ姫を取り返した英雄だ。インド人に深く信仰されていて、日本のお地蔵さんのように町のあちこちにその像が祀られているのだが、今回は一度もお目にかかれなかった。ハヌマーンラングールはハヌマーンの使いとされて大事にされているので、人間を恐れることはなく偉そうにこっちを見てやがる。

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 霊鷲山の麓にはお土産屋さんもいっぱいある。並んでいる商品はどう見てもインド人向けの物ばかり。インド人が霊鷲山に登るんか?って。いやいやここに来るインド人の目的は隣のラトナギリ(多宝山)にあるリフトだ。

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 多宝山の山頂には日本山妙法寺さんが建てた平和記念仏塔がある。このリフトはその際に、資材を運ぶために設置したもので、仏塔建築が終われば取り壊す予定だったんだけど、インド側に頼まれてそのまま残したらしいんだ。そしたら、一躍インド人の人気観光スポットになった。近くには温泉もあり、インド人にとってはこのあたりで随逸のテーマパークってわけだ。

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 本来ならビンビサーラ王がブッダの説法を聞くために造ったと言われるビンビサーラ・ロードを登るんだけど、最近は横着してリフトで多宝山に登り、尾根伝いに少し下ってお隣の霊鷲山側に出て、それから霊鷲山山頂を目指すというコースをとっている。そのほうが登りが少なくて楽なんだけど、なんかな~という思いはある。

 ここのリフトはチケットを買ってから乗るまでが面倒臭い。回転ジャングルジムみたいな物をいくつも通過しないと乗り場に到達できないことになっている。何故か?って。インド人はきちんと並んで順番を待つことをしないんだ。今日はお客さんが少ないからいいけど、お客さんが殺到した時は大変なことになる。で、一人ずつしか先に進めないようにしてあるわけだ。

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 やっと乗れた。インド人が続々と降りてくる。前の92番のリフトは僕の奥さん。写真撮ってくれって頼んだんだけど、かなり揺れるんで撮れんかった。おまけに途中で停電で止まってしまった。僅か10秒程だったけど、肝冷やしたよ。

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 10分足らずで頂上駅に到着。今回は平和記念仏塔にお詣りせずに、このまま霊鷲山をめざして山を下りる。

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 こんな裏街道みたいな道をしばらく下って行くと、道端に兄ちゃんが店を出している。へえ~、こんな所にまで店を出すんだと感心したが、見るとヒンドゥー教の神さまの絵を売っているではないか。これは世界史の授業で使えると、4枚見繕って買った。

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 ヒンドゥー教の3大神の中で最も信仰を集める破壊の神シヴァ。前にも書いたけど、右にいる牛がシヴァの乗り物のナンディ、その右の蓮の花で飾られているのがリンガ、つまりおちんちんで、その受け皿が〇〇〇〇(笑)

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 3大神の中で世界を維持する役を務めるヴィシュヌ。ガルーダという鳥に乗り天空を駆けめぐる。10の化身を持ち、ブッダはその9番目の化身とされる。『ラーマーヤナ』の英雄ラーマも、『マハーバーラタ』の英雄クリシュナもヴィシュヌの化身だよ。

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 芸術や学問を司る女神サラスヴァティー。手に持っている琵琶みたいな楽器はヴィーナというインドの楽器。手に琵琶を持っている七福神というと?そう、弁財天。サラスヴァティーが仏教を通じて日本に入って弁財天になったんだよ。勉強になった?

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 そして、最期の1枚がさっきも書いたハヌマーン。兄ちゃんとの値段交渉が長引くとみんなに置いて行かれてしまうので、手短に交渉して、1枚200ルピーという言い値を、4枚500ルピー(1,000円)で手に入れた。

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 霊鷲山山頂が見えてきた

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 望遠で見ると、ブッダが説法をしたと伝えられる香室で読経する人々が見える。衣の色からするとタイの坊さんたちかな。

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 雑木林の中に見えるのがビンビサーラ・ロード。本来はここを歩かなくちゃいけない。
 
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 ようやくビンビサーラ・ロードに出て、今度は上り坂。老体(?)には応える。僅かなことだが、さっき買った4枚の絵が邪魔。

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 霊鷲山には写真のような洞窟が多くあり、ブッダがこの山に滞在された時にはお弟子さん達はこうした洞窟で生活したんだろうね。

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 この大きな洞窟はブッダに最期までつき従って旅をしたアーナンダ(阿難)の窟とされている。

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 さあ、いよいよこの道を右に折れ、階段を登れば霊鷲山の頂上だ。リフトを降りてから30分程かかった。

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 霊鷲山はサンスクリット語でグリドラクータ。グリドラはハゲワシにことで、山頂付近にあるこの岩がハゲワシに似ているから名づけられたとず~っと思っていたんだけど、違うみたい。山そのものが遠くから見ると、ハゲワシに見えるからだそうだ。また、別の説ではブッダの頃はこの山では鳥葬が行われており、遺体を食べに来たハゲワシが上空を舞っていたからだという。ブッダは墓地で瞑想されることが多かったんで、こっちの説のほうが正しいかもね。

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 ようやく頂上の香室に着いた。沈んでいく夕日が正面にあって見難いかもしれないけど、ブッダが説法をされた場所とされる。僕らが読む『妙法蓮華経』は、「如是我聞 一時仏住 王舎城 耆闍崛山中 与大比丘衆 万二千人倶」と始まる。「私はこのように聞いた。 あるとき釈尊はマガダ国の首都王舎城の郊外の霊鷲山にいて、千二百人の僧たちと一緒だった。」
 そう、ブッダはこの霊鷲山で法華経を説かれたんだ。ここで法華経を聞いた人は1200人が正しい数字みたいで、1万2000人というのは鳩摩羅什【くまらじゅう】の意訳のようだ。

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 ここに身を置くと、自分が過去世においてその1200人の中にいたような錯覚に捕らわれて、自然と涙がこぼれてくる。しかも、今回で7回目。ありがたいことである。

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 実はあまり大きな声では言えないんだけど、平成23年に亡くなった母親の遺骨を霊鷲山山頂に納骨してきた。今年の6月に不届者が白山の山頂に散骨したというニュースがあったが、僕はそんな人に迷惑をかけるようなことはしない。平成9年に父親の遺骨をここに埋めた時と同じように、この岩の割れ目にほんの小さな母親の遺骨一片を納めさせていただいた。僕が死んだ時にも霊鷲山に納骨してくれと息子達には言ってあるんだが、ここまで来てれるかな~。

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 午後6時15分に霊鷲山から降りてホテルに戻り、7時20分から夕食。みんなが日本からはるばる持って来たおつまみやお酒を並べたらこの状態。他にお客さんは一人もおらず、貸し切り状態で、居酒屋『法華』の開店。

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 今日の献立はご覧の通り。天ぷら、冷や奴、米なすの田楽、蕎、その他。これらをつまみにたらふく飲んで、ベーロベロ。
 
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 デザートはチャパティでバターと蜂蜜を刳るんで食べるインド式クレープ。

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 たくさん食べて飲んで糞した後はインド式ウォシュレットでどうぞ。右のシャワーで流すも良し、左のプラスチック製手桶に水を汲んで、自らの手でうんを掴んで流すも良し。お好きなように。僕は紙で拭きました。さあ、明日から「ブッダ最後の旅」と同じルートを巡る。早く寝なくっちゃ。おやすみなさ~い。(つづく)


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【 2016/11/06 16:47 】

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