fc2ブログ

なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

カテゴリ

最新記事

fc2カウンター

Facebook

月別アーカイブ

最新トラックバック

最新コメント

リンク

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

インド洋の真珠スリランカーペラヘラ祭

8月1日(火)

52e31b3ce5d15b8a0029dd559dab544c_convert_20171009145100.jpg  

 宝石博物館を午後4時15分に出て、30分ほどでキャンディのホテルに到着。キャンディはシンハラ王朝最後の都。シンハラ王朝の成立について詳しいことはまたいずれ書くけど、シンハラ王朝は紀元前にアヌラーダプラに最初の都をおいたあと、インドからの侵入に追われて南へと遷都を続けた。1474年からキャンディに移りようやく落ち着きを得たのは、標高300メートルほどのなだらかな山々に囲まれた盆地であっため、それが自然の砦のような役割を果たして外敵の侵入を防いだからだ。
 
 しかし、1505年にシナモン貿易を独占するためポルトガルが植民地化を開始、1658年にはオランダがこれに代わった。1796年にイギリスがコロンボを占拠して植民地化進め、オランダを破るとともに1815年についにキャンディ王国を滅ぼし、ウィーン会議でオランダからイギリスへの譲渡が決定した。

DSC02769_convert_20171009141443.jpg 

 今晩、泊まるのはクイーンズ・ホテル。アーチ型の窓や装飾が美しい白亜のコロニアル様式の建物で、植民地時代には知事邸だったそうだ。それを1895年に改築して営業を開始したというから、120年の歴史を誇る老舗で、随所に歴史を感じる。

DSC02772.jpg 

 廊下も趣があって、いい雰囲気だ。

DSC02880_convert_20171009141633.jpg 

 フロントも落ち着いた感じ。

DSC02877.jpg 

 エレベーターは昔ながらの手動式。これには、なっちゃんも大喜び。趣があっていいホテルなのだが、当然設備が古く部屋のお湯は出てくるまでに随分時間がかかった。ということで、普段は星3つのリーズナブルなホテルなんだけど、ペラヘラ祭の時だけ高級ホテルとなる。理由は簡単、クイーンズ・ホテルは仏歯寺のすぐ目と鼻の先にあり、祭りを観覧するには最高の立地なんだ。

DSC02773_convert_20171011134313.jpg

 午後5時45分から晩飯。ちょっと早いけど、ペラヘラ祭は午後7時過ぎに始まるので、その前に飯は済ませてしまう。チキン、ダール、インゲン豆、魚、ラムに渡り蟹のカレー。酒は無し。酒無しで晩飯喰うの何年ぶりかな~。

DSC02775_convert_20171011134442.jpg

 レストランの横にはプールがあるが、もちろん誰も泳いでいない。

DSC02776_convert_20171011134403.jpg
 
 おやっ、エレクトーンの生演奏だ。曲目は「北国の春」に「イマジン」、それにこれ何だっけ?「♪♪ ひとり酒、手酌酒、演歌を聞きながら ホロリ酒、そんな夜も、たまにゃ、なァいいさ ♪♪ 」そうそう、吉幾三の「酒よ」だ。日本人観光客がいかにたくさん来てるかだね。

DSC02778_convert_20171011134515.jpg

 晩飯をそうそうに済ませて、午後6時50分、ホテル玄関前の特等席に陣取って祭りが始まるのを待つ。奥村君に聞いたら、この椅子を並べただけの特別席が1人80ドルだそうだ。完全にぼられてますね。

 DSC02781_convert_20171011141805.jpg 

 なかなか始まらないんで、この時間を利用してペラヘラ祭について説明しておこう。

 ペラヘラは「行列」という意味で、簡単に言えばご神体などを背中に乗せた象さんが街中をパレードするお祭り。スリランカ各地で行われているが、キャンディで行われるエサラ・ペラヘラ祭が最も格式が高くその規模も最大。なんと言ったって、仏歯寺に納められている仏歯、つまりブッダの歯が象の背中に乗せられて行進するからね。

 もともとスリランカ暦のエサラ月(7~8月)に行われていた雨乞いの儀式と、インドから持ち込まれた仏歯への崇拝を組み合わせたものといわれており、エサラ月の新月から次の満月までの約2週間にわたって行われる。デーワーレペラヘラ、クンバルペラヘラ、ランドリーペラヘラの3つに5日間ずつ区切られ、市内を回り始めるのはクンバルペラヘラから。

 行列が行われる時は交通規制がしかれ、街中に車は入れなくなる。金沢の百万石祭の時も、朝早くから場所取りが行われるけど、キャンディの街も通りの両側は敷物を敷いて座り込む人々で埋め尽くされてしまう。金沢の祭りは6月だからまだいいけど、真夏のスリランカは日中40度近くまで気温が上がるから、熱中症で倒れる人がぞくぞくと出るそうだ。
 
DSC02782_convert_20171012140850.jpg

 待つこと30分。やっと行列の先頭が姿を現した。パーン、パーンという乾いた音が夜空に鳴り響く。初め爆竹の音かと思ったら、鞭を打つ音だ。写真ではとらえられていないけど、数名の男達が長い鞭を振り回して地面にたたきつける。パーン、パーンという音がペラヘラの始まりを告げるんだけど、この音は稲妻と雷を表しているんだってさ。

DSC02784_convert_20171012143955.jpg  
 
 続いて、ファイヤーダンサーがやって来た。たくさんの炎が付いた火の輪をぐるぐると回し、空中に放り投げてキャッチしたり、火の付いた棍棒をお手玉のように何本も宙に投げたりする。

DSC02790_convert_20171012141005.jpg

 さらに、五色の仏旗や地方の旗を掲げた旗持ちや剣持ちが続く。画像はないけど、これらのパレードに祭りには欠かせない音楽隊も加わる。チャルメラのような小型のラッパやゲタ・ベラと呼ばれる両面太鼓、仏歯寺のプージャの際にも使われるタンマッタムと呼ばれる大小一対の太鼓などが使われ、祭りの華やいだ雰囲気をいっそう高揚させていく。

DSC02793_convert_20171012141040.jpg

 ウェス・ダンスと呼ばれる激しい踊りを披露するダンサーたち。ウェス・ダンスは銀色のじゃらじゃらした頭飾りをつけた男性が踊る勇壮な踊りで、ダンサー達はしだいにトランス状態に陥って、見ている僕たちもしだいに興奮してくる。さあ、そしていよいよ象さんの登場だ。

DSC02794_convert_20171012141119.jpg 

 ペラヘラの主役、象の登場で、祭りの高揚感はさらに高まる。象たちは、鼻や耳、頭のところにたくさんのイルミネーションが飾られ、キラキラの刺繍が施された布の服を纏ってる。象さんの中には音楽に合わせて身体を揺すって踊ってる奴もいる。

DSC02795_convert_20171012145759.jpg

DSC02798_convert_20171012145831.jpg
 
 ぞくぞくと象さんがやって来る。

DSC02804_convert_20171012155824.jpg 

 背中に輿【こし】を乗せた、かなり大型の象さんがやって来た。

DSC02808_convert_20171012155859.jpg 

 輿もイルミネーションで飾られている。これぞ仏歯を納めた輿だと思ったんだけど。

DSC02811_convert_20171012155936.jpg 

 その後から、さらに大型の象さんが、さらに立派な輿を乗せて現れた。

DSC02813.jpg

 ぞう、この迫力。これぞブッダの歯を入れた舎利容器を乗せた輿だ。中に本当にブッダの歯が入ってんの、と疑ってしまう人もいるかも知れないけど、これを見たさにスリランカ中から集まって来た人たちの熱気はそんな疑いを吹き飛ばしてしまう。

 ここまで2時間のパレード。何頭の象さん、何人の人間がこの前を通り過ぎたんだろう。祭りの最終日には100頭の象が登場するらしいけど、今日は50頭くらいかな。人間の数は1,000人を超えているかも知れない。金沢の前田利家入城行列なんて、ペラヘラに比べたら子供のお遊びだ。想像を遙かに遙かに超える大変な祭りだ。百聞は一見に如かず。こりゃ、実際に自分の目で見ないと、この祭りの迫力はわかんないよ。本当、一遍は見てみまっし。感動するさけ。

 ただ、如何せん、同じパターンの繰り返しで、だんだん飽きてしまった。パレードは午後10時過ぎまで続いたそうだけど、僕らはいい加減に切り上げて退散。晩飯の時に酒呑んでないので、IさんとOさんの部屋にお邪魔して宴会。こうしてキャンディの夜は更けていった。(つづく)

↓ ランキング挑戦中  Brog Rankingのバナーをポチッと押してね!

スポンサーサイト



テーマ:海外旅行 - ジャンル:旅行

【 2017/10/12 16:45 】

インド洋の真珠スリランカ  | コメント(0)  | トラックバック(0)  |
<< インド洋の真珠スリランカー仏歯寺① | ホーム | インド洋の真珠スリランカーフルーツ・紅茶・宝石 >>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム |