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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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インド洋の真珠スリランカーアヌラーダプラ②

8月4日(金)

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 スリランカの史書によると、この島に仏教が伝来したのは、ヴィジャヤから数えて6代目のデーヴァーナンピヤ・ティッサ王(前260~210年)の時代であり、それを伝えたのはマウリヤ朝の全盛期を築いたアショーカ王の王子のマヒンダ長老であったという。これは世界史で習ったと思うけど、もうちょっと詳しく説明しようね。

 アショーカ王は、王子の時代に西インドの太守であったとき、この地の長者の娘との間に男児マヒンダと女児サンガミッターをもうけた。アショーカ王はカリンガ征服の際に多くの血を流したことを悔い仏教に帰依するが、その後、モッガリブッタ長老の勧めに従ってマヒンダとサンガミッターの出家を許した。

 アショーカ王の保護下に第3回の仏典結集【ぶってんけつじゅう】を主宰したモッガリブッタ長老は、この結集で正統と公認された上座部の仏教を遠隔地に伝えるため、大伝道事業に着手し、その一環としてマヒンダと4人の長老にスリランカ布教を命じた。

 マヒンダ一行は。まず彼の故郷の西インドに向かい、そこにしばらく留まったあと、空中に昇ってスリランカのミッサカ山(ミヒンタレー)の頂上に降下した。狩猟中のデーヴァーナン王は、その場でマヒンダに会見して大いに喜び、仏教に帰依した。紀元前247年6月の満月の日だったといわれており、マヒンダにちなんで、この地はミヒンタレーと呼ばれるようになった。二人が出会った地には現在アムバスタレー大塔が建っているが、今回の旅では残念ながら訪問できなかったので、写真はネットから借りてきた。

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 イスルムニア精舎はスリランカ最古の寺院。日本における最古の寺院である飛鳥寺のようにこぢんまりとしたお寺だ。 平坦で起伏の少ないアヌラーダプラで、ここだけ聖性を主張するように10メートルほどの岩が屹立しており、その岩をくり抜いて本堂としているので、通称はロック・テンプルと呼ばれている。もとは石窟僧院であったが、その一部が残され、修復後に寺院となったもので、比較的最近になって石窟を覆うような形で、今の本堂の建物が建てられた。右手が本堂で、左手は宝物館、岩の上には白いダーガバ(仏塔)が見える。

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 本堂の右手には大きな沐浴池がある。

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 岩肌には可愛い象が彫られているが、象さんも沐浴してるようだね。おまけに、この象さん笑ってるよ。笑ってる象さんはスリランカでここだけなんだって。

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 馬と豊穣の神パリジャニのレリーフと、『地球の歩き方』などには書いてあるんだけど、これがよく分からない。火の神アグニも彫られているらしいので、パリジャニはバラモン教の神だと思われる。バラモン教の神にパルジャニヤという雨の神がいて、これがパリジャニに変化したんだろう。雨は地上の植物を育て、豊かな恵みとなって人々にもたらされるから、豊穣の神とされるのは問題ない。

 問題は横にいる馬。普通インドの神さまの横に動物が書かれていれば、その動物はその神さまの乗り物になる。一番有名なのはシヴァ神の乗り物であるナンディという牛。でも、馬を乗り物にしている神さまは聞いたことがない。サールナートのアショーカ王柱には象・牛・ライオンと並んで馬も彫られているから、いちおう馬も聖獣なんだろうけど、馬はあまり重視されていない。なのに、何故ここに馬が彫られているのか?ウマく説明できる人、ウマせんか?。あっ、いませんか?

 まあいずれにしてもバラモン教の神さまが掘られているということは、この岩山はもともとバラモン教の聖地だったということだ。

 
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 さあ、本堂から入ろうか。ここにもムーンストーンとガードストーン。

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 階段外側にも見事な彫刻。下は象さんだけど、上はライオン?口から長い舌を出しているようにも見えるけど、ドラゴンか?謎のまま。

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 本堂に入る前に小さな御堂があり、中にはブッダの座像が安置されている。この像はマヒンダが技術者を連れてきて作成させたものと言われており、スリランカ最古の仏像ということになる。日本で言えば飛鳥寺の飛鳥大仏だね。大切な仏像だからガラスケース入れられており、そのために光の反射でうまく撮影できない。一番真ん中に写ってるのは僕の影。ブッダの体内に僕が入ったみたいで、悪い気はしないな。

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 本堂の涅槃仏。スリランカに来て随分と涅槃仏を見て来たので、もうお分かりですよね。上になっている左足がやや後方にずれてるんで、紛れもない涅槃仏。木像に見えるけど、岩を切り出して造られたものだ。足の指はピンク色だし、衣は真っ赤、なんとも派手な色合いだけど、この本堂の総ての石像の彩色は、日本の浅草寺の援助でおこなわれたんだって。

 スリランカでは仏像が色落ちするとすぐに塗り替えちゃうんで、見た目に新しいと思っても実は古い仏像であることが多い。日本人は彩色が落ち、木肌に虫食いの跡が残る木像仏にわびさびを感じ、けばけばしい色合いに仏像やピカピカの仏像に厳かさを感じないけど、奈良時代の仏像も造られた時はスリランカの仏像のように極彩色で彩られてたんだよね。

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 涅槃仏の頭の横の4体の仏像は、真ん中の朱色の衣の座像と立像はブッダで、向かって右はサーリプッタ(舎利弗)、左の茶色の衣はアーナンダ(阿難陀)だそうだ。ソーナンダ。

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 本堂の一番奥は、巨石群に繋がっており、洞窟状になっている。そう、スリランカ初の仏教僧イスルムニヤさんは、ここで儀式を受け出家の身となられたんだそうだ。

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 仏像に供えられた造花が美しい。信者さんの手作りかね。日本人にはこうした素朴な信仰心が無くなって来ているようで、なんか寂しいね。

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 ちなみに仏像の上の岩にくっついているものが何か分かる?これ「燕の巣」なんだってさ。「燕の巣」と言えば、アナツバメが唾液腺の分泌物で作る巣で、僕なんか一度も食べたことのない広東料理の高級食材。これ剥ぎ取って持って帰ったら高く売れるんかね、なんて馬鹿なことを考えなさんな、こんな神聖な場所で。
 すんません。さあ、次は宝物館へ行こう。(つづく)

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テーマ:海外旅行 - ジャンル:旅行

【 2018/03/26 14:03 】

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