なまぐさ坊主の聖地巡礼
プロフィール
Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。
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1786年、カルカッタ高等法院の判事であり、アジアの古代言語の研究者でもあったウィリアム=ジョーンズはベンガル・アジア協会における講演で、サンスクリット語がペルシア語・ギリシア語・ラテン語・ゲルマン語・スラヴ語などと親縁関係にあることを指摘した。インドで使われていたサンスクリット語とラテン語が親縁関係と言われても俄には信じられないと思う。だけど、サンスクリット語でお父さんはピーター、お母さんはマーター、兄弟はブラーター、これがラテン語だとそれぞれ、ペテル、マーテル、フラーテル、と語彙が似通っている。ウィリアム=ジョーンズはそれに気がついたわけだ。
これが一つのきっかけとなって諸言語の比較研究が盛んになり、19世紀に入るとジョーンズの指摘の正しいことが証明された。インド=ヨーロッパ語(印欧語)比較言語学の誕生である。
次に学者たちは、それらの言語の祖語の話されていた地、つまりインド=ヨーロッパ語の故郷の探検を始めた。そしてその探索は、動植物の単語で東西の諸言語に共通するものを拾い出すという作業によって進められた。その結果、スカンディナヴィア説、南ロシア説、カスピ海沿岸説などさまざまな説が出されている。
前2000年頃、インド=ヨーロッパ語に属する言語を話し遊牧生活を送る一団が、中央アジアに移住し、自らをアーリヤと称し優れた血統を誇った。アーリヤとは「高貴なる者」という意味である。そして、牧畜に適したこの地で人口を増加させるとともに、民族としての独自性を育んだ。
前1500年頃、そのアーリヤ人の一部が南下を開始し、ヒンドゥークシュ山脈(ヒンドゥークシュは「インド人殺し」の意味)を越えてインドに入った。移動の原因としては、人口の増加や気候の乾燥化による牧草地不足、部族間の抗争などが考えられる。
インド=アーリヤ人 イラン人
インドに入った者たちは、今日インド=アーリヤ人と呼ばれている。一方、中央アジアからイラン方面へのアーリヤ人の大規模な移動が、前1000年頃から始まった。彼らの自称「イラーン」は「アーリヤ」と語源が同じだ。僕には詳しいことは分からないけど、アーリヤ Arianaの母音が動いて、Iraan イランになったそうな。だから、アーリヤ人とイラン人はかなり近い親戚だ。だから、ゾロアスター教の神さまとヴェーダの神さまには共通するものが多い。写真のイラン人はみんなも知ってると思うけど、日本で活躍するサヘル=ローズさん。
アーリヤ人は前1500年頃カイバル峠を越えてインド西北のパンジャーブ地方に入った。彼らは先住民であるドラヴィダ人を「ダーサ」(やがて奴隷の意味になる)と呼び、騎馬戦士と戦車を使ってその多くを支配下においた。彼らはパンジャーブ地方で牧畜民の生活から農耕技術を身につけ、より肥沃な土地への移動をもとめたらしく、前1000年頃からガンジス川流域に移住し始め、農耕社会を形成していった。
この間のアーリヤ人の歴史は、神々への讃歌を集めた『リグ=ヴェーダ』から知ることが出来る。リグは「讃歌」を、ヴェーダは「(聖なる)知識」つまり「聖典」を意味している。このヴェーダの神々への信仰からバラモン教が生まれ、そこからヒンドゥー教が発展していく。
この中には遠く日本にまで伝わり信仰の対象となっているものも多いので、そのいくつかを紹介しょう。『リグ=ヴェーダ』 に収められた1,028の讃歌のうち、最も多くを捧げられているのは雷神かつ軍神のインドラで、全体の4分の1を占めている。全身茶褐色で,巨大なからだによって宇宙を圧し,2頭の名馬の引く戦車で天空を駆けめぐる。アーリヤ戦士の理想像として崇拝された。神酒ソーマで英気を養い,バジュラ (金剛杵【こんごうしょ】) で敵を粉砕する。
金剛杵は金剛(ダイヤモンド)で出来ていて雷を操る。日本でも真言宗や天台宗などの密教の坊さんが儀式で使っている。もちろん雷は操れない。
このインドラが 仏法の守護神となって日本に入ると、帝釈天【たいしゃくてん】あるいは釈提桓因【しゃくだいかんにん】と呼ばれるようになる。帝釈天というとフーテンの寅さんの口上にも出てくるよね。「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」。この帝釈天は柴又の題経寺に祀られていて、江戸時代から大変な信仰を集めた。
インドラの次に多くの讃歌を捧げられているのは火神アグニで、祭火として、また火中に投ぜられた供物を天上に運ぶ神、敵の城塞を焼き払う神として崇拝された。赤色の体に炎の衣を纏い、二面二臂で七枚の舌を持つ姿で描かれる事が多い。仏教では火天と呼ばれる。
死者の国の神ヤマ。ヤマの王国は後世には地獄を指すようになるが、『リグ=ヴェーダ』の段階では、善良な人がおもむく楽園とされている。
ヤマは日本ではもちろん閻魔大王だ。ちなみに、地獄のことをナラカと言うんだけど、「奈落の底」というのはここから来ている。その他に、サラヴァスティーは知恵と弁舌と財宝の神である弁財天として知られている。また、さきほどの火神アグニである火天・太陽神スーリヤは日天・風神ヴァーユは風天・律法神ヴァルナは水天……等々とされ、世界守護・徐災招福の「十二天」に属する神々として信仰されている。
韋駄天
なお、この「○○天」という「天」はサンスクリット語の「デーヴァ」に相当し、「神」つまりインド伝来の神を意味する。「天」がついているというと、毘沙門天や持国天などの四天王が有名だよね。あと、烏賊天・海老天・牛蒡天。まあ、これは冗談だけど、韋駄天【いだてん】って知ってるかな?ブッダが入滅した時に、その遺骨(仏舎利【ぶっしゃり】を盗んだ捷疾鬼【しょうしつき】を追いかけて取り返したというので、足の速い神とされ、足の速い人のたとえにされる。2019年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」のタイトルにもなってるよね。
ちなみに、韋駄天がブッダのために方々を駆け巡って食物を集めたとの俗信に由来して、御馳走【ごちそう】という言葉が生まれたんだよ、知ってた?
ヴェーダの祭祀の中心である火に供物を捧げる儀式はホーマと呼ばれるが、これもまた仏教とともにわが国に伝来し、真言密教の「護摩【ごま】」となった。
クンビーラ神
先住民の信仰と関係するものとしては蛇(ナーガ)崇拝があり、わが国の竜王・竜神信仰はここに起源の一つをもっている。香川県の琴平町に祀られている金比羅【こんぴら】は、ガンジス川のワニ(クンビーラ)に由来する竜神なんだよ。これも知ってた?なんせ、日本の神さまにはインド出身の神さまが多いということだ。
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