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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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タクラマカンの秘宝・キジル千仏洞

8月20日(日)

2006_0824シルクロード 本淳0025 

 今日は鳩摩羅什の命日である。その日に、私は羅什生誕の地クチャにいる。そうなるように日程を組んだ訳ではないのに、やはり日頃の精進が生んだ結果であろうか!?ま、それは冗談であるが、感慨深いものがある。

 羅什の父・鳩摩羅炎【くまらえん】(クマーラヤーナ)は天竺【てんじく】国(インド)で代々宰相をつとめる名家の出身であった。しかし、彼は宰相の地位を辞退して出家し、葱嶺【そうれい】(パミール)を超え、亀茲国(現在のクチャ)にたどり着いた。
 彼に一目惚れしたのが亀茲国王・白純の妹の耆婆【ぎば】(ジーヴァ)であった。白純に懇願された鳩摩羅炎は還俗し、耆婆と結婚。二人の間に生まれたのが鳩摩羅什である。西暦350年のことであった。

2006_0824シルクロード 本淳0027 

 午前8時40分、ホテルをバスで出発。運転手はウイグル族のアリムさん。1時間半かかって、「タクラマカンの秘宝」と言われるキジル千仏洞に到着。今にも崩れ落ちそうな崖の側面に236の窟が確認されているが、敦煌の莫高窟と比べると、仏像の類はほとんど無く、壁画もわずかしか残っていない。偶像崇拝を嫌うイスラーム教徒による破壊もその原因の一つであるが、案内してくれた葛軍【かつぐん】さん(男らしい名前ですが女性です)が、「綺麗ナ壁画ハドイツガモッテイキマシタ」と何遍も繰り返したように、ル・コックが率いたドイツ探検隊の仕業である。文化財保護の名目で、壁画を剥がしてドイツに持ち帰ったのである。学問に名を借りた泥棒じゃないか、と声を荒げたくなるが、日本の大谷探検隊もやったことなので、あまり大きな声では怒れない。

 『高僧伝』は、羅什の母が妊娠中に雀離【じゃくり】大寺(昭怙厘【しょうこり】大寺)に詣でて、我が子のつつがなき出生を祈ったと伝えている。イギリスの探検家スタインは、今日の午後に訪ねるスバシ故城を雀離大寺と考えたが、最近の研究ではキジル千仏洞がそうであるらしい。
 とするならば、幼い羅什も母に手を引かれてキジル千仏洞に参詣したはずであるし、長じてからはここで説法もしたであろう。その頃に穿【うが】たれていたのがどの窟であるか分からないが、1600年余り前に羅什がこの空間に身を置いていたことは間違いない。
 
c0050449_18473827[1]
 (写真撮影は禁止されているので、図版から拝借しました)

 葛軍さんが一生懸命に壁画の説明をしてくれるのだが、恐らく内容は6年前と同じ。説明はそっちのけで、羅什と同じ空間に自分の身を委ねている幸せをかみしめた。

2006_0824シルクロード 本淳0033 

 キジル千仏洞の見学を終えて、昼食の前に手洗いを済ませておこうと、トイレに行った。案の定、大きいほうのトイレにもドアが無く、開けっぴろげ。おまけに通路側に顔を向けて用を足すので、「こんにちわ」と挨拶が出来るから、称好(ニーハオ)トイレと言うんだって。障害者用のトイレもあったけど、同じ。まあ、確かに通路側に尻を向けていたら、後ろから襲われるかも知れないから、前を向いていたほうが安全なのだが?やっぱ、ドア付けたら。そのほうが、皆安心して用が足せると思うけどね。中国のトイレについて語り出したら、1日あっても足りないくらい。これくらいにしておこう。

 昼食はウイグル料理のラグメン。ラーメンと同じ語源らしいが、ラーメンとは似ても似つかぬ代物で、日本のうどんに羊肉と野菜を炒めたものをかけたものだ。しかし、こらが結構いける。皆さんは添乗員の奥村君(いつも通り旅行社はトラベルサライ)が日本から持ってきた麺つゆでうどんだけを食べたほうが美味しいとおっしゃるが、イタリア料理のパスタに醤油をかけて美味いと言っているのと一緒。醤油や鰹節の出汁が美味いのであって、麺との相性は決して良くない。僕は肉野菜炒めソース掛け麺ばかりを食べた。(つづく)
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【 2013/12/15 06:59 】

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