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なまぐさ坊主の聖地巡礼

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ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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世界史のミラクルワールドー出エジプト・モーセ

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 ヘブライ人は「川の向こうから川を超えて来た者」という意味の他称で、自らはイスラエル(「神に勝つ者」の意味)と称した。ユダヤ人と呼ぶ場合が多いが、これは民族名ではなく、ユダヤ教の信者のことである。

 『旧約聖書』では、族長アブラハムに率いられ、ウルを出てパレスチナに定着したと書かれている。パレスチナで牧畜に従事していたヘブライ人は飢饉に見舞われたため、その一部は豊かなエジプトに移動して、農耕生活を営むようになった。しかしエジプトのファラオが彼らを奴隷として都の造営などに使役するようになり、彼らは苦しい境遇に置かれるようになった。ヘブライ人をその窮地から救ったのがモーセである。

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 写真はミケランジェロ作のモーセ像だが、頭に角が2本生えている。こんなことになったのは、ヴルガタ訳の描写をもとにしたためだと言われている。正しい訳は「モーセは光輝いていた」なのだが、ヘブライ語には母音を表す文字が存在せず、ヘブライ語で「輝く」を意味する語は「角」という意味にも解釈できるそうで、「モーセには角が生えていた」という訳になっちゃったんだって。

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 さあ、いよいよ「出エジプト」(イクソダス)のお話だが、ここからは1956年製作のハリウッド映画「十戒」の画像を中心にしてお送りする。モーセを演じたのは往年の大スターであるチャールトン=ヘストンだ。

 『出エジプト記』によれば、モーセはヘブライ人のレビ族の父アムラムと、アムラムにとって叔母にあたる母ヨケベドとの間に生まれ、兄アロンと姉ミリアムがいた。モーセが生まれた当時、ヘブライ人が増えすぎることを懸念したファラオはヘブライ人の男児を殺すよう命令した。出生後しばらく隠して育てられたが、やがて隠し切れなくなり、パピルスのかごに乗せてナイル川に流された。

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 たまたま水浴びしていたファラオの王女が彼を拾い、水からひきあげたのでマーシャー(ヘブライ語で「引き上げる」の意味)にちなんで「モーセ」と名づけた。

 成長したモーセは、あるとき同胞であるヘブライ人がエジプト人に虐待されているのを見て、ヘブライ人を助けようとしたが、はからずもエジプト人を殺害してしまう。これが発覚し、ファラオに命を狙われたモーセは逃れてミディアンの地(アラビア半島)に住んだ。

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 ミディアンではツィポラという羊飼いの女性と結婚し、羊飼いとして暮らしていたが、ある日燃える柴のなかから神に語り掛けられ、ヘブライ人を約束の地(聖書中では「乳と蜜の流れる地」と言われている現在のパレスチナ周辺)へと導く使命を受ける。神からの啓示を受けたモーセは、ヘブライ人を率いパレスチナを目指してエジプト旅立つ。

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 これを逃がすまいとしてファラオの軍があとを追うのだが、ファラオの名はラメセス。ラメセス2世のことだろうが、これを演じたのがユル=ブリンナーだ。ヘブライ人たちはやがて「葦の海」に出る。恐らく今の紅海のことだろうね。前は海、後ろにはファラオの軍が迫って来る。絶体絶命のピンチだ。

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 しかし、モーセが神に祈ると、神は火の柱でラメセスの軍の進攻を妨げ、その後海を二つに割り、ヘブライ人たちをその海の中にできた廻廊を歩かせて対岸まで逃れさせた。暫くして火の柱が消え、道が開けたエジプト軍がヘブライ人を追って、海の中にできた廻廊を進むと、モーセは再び神に祈りを捧げ、今度は廻廊が海に戻り、あっと言う間にそこは海の中となってラメセスの軍は彼だけを残して波間に消えていった。公開当時はこの特撮シーンが話題になったんだけど、今観るとちんけだ。まあ、60年も前の映画だから仕様がないけどね。

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 その後、モーセは40日間シナイ山に籠り、やがて光が岩に十の戒めを刻んでいく。こうして、モーセは神ヤハウェから「十戒」を授かった。

 1.汝は私の他に、何者をも神としてはならない。
 2.汝は自分のために刻んだ像を造ってはならない。
 3.汝は、汝の神・主の御名をみだりに唱えてはならない。
 4.安息日を覚えて、これを聖とせよ。……
 5.汝の父母を敬え。
 6.汝殺すなかれ。
 7.姦淫をしてはならない。
 8.汝盗むなかれ。
 9.隣人について偽証してはならない。
 10.汝の隣人の家をむさぼってはならない。

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 その後数十年にわたりシナイ半島の荒野を彷徨った後に、120歳(?)になったモーセは自分の後継者としてヨシュアをたてて亡くなる。指導者となったヨシュアはジェリコ(エリコ)の戦いに勝利してカナーンを征服し、ヘブライの12部族にくじ引きで定住地を与えたという。

 その後ヘブライ人はそれぞれの族長に率いられて統一国家をつくることはなかったが、海の民の一派であるペリシテ人が現在のガザを中心とした東海岸に侵入してヘブライ人を圧迫するようになった。それに対抗するため、ヘブライ人の統一が進み、前11世紀末にサウルによって統一されてヘブライ王国が成立した。

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ミケランジェロ作ダヴィデ像

 前1000年に第2代の王となったダヴィデがペリシテ人を破り、さらに周辺を征服した。ヘブライ王国は次のソロモン王の時に全盛期となり、王はイェルサレムにヤハウェ神殿を建設したが、その死後、北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂し、イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、ユダ王国も新バビロニアのネブカドネザル2世に滅ばされてしまう。

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 ユダヤ人は前6世紀末にイェルサレムの神殿を中心に神政政体を確立。さらに前2世紀に再び王国(ハスモン朝)を建設したが、前63年以来ローマの支配下に入った。その後、ローマと戦ったが(ユダヤ戦争)、70年にイェルサレムが陥落、ユダヤ人は各地に離散(ディアスポラ)した。この時に神殿も破壊され、現在は「嘆きの壁」と呼ばれる神殿の外壁だけが残っている。

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 余談になるが、2017年5月、アメリカのトランプ大統領がこの「嘆きの壁」を訪問、さらに2018年5月にはアメリカ大使館をテルアビブからイェルサレムに移した。アメリカ国内のユダヤ人の協力なしでは選挙に勝てない。そのために親イスラエル政策をとるトランプだが、これでは、いつまで経っても中東に平和が訪れることはない。

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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2019/05/01 05:48 】

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