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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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無茶苦茶なクチャのおじさん

8月20日(日)

2006_0824シルクロード 本淳0038  
(玉を探す奥さん)

 キジル千仏洞からクチャの町へ帰る途中、塩水渓谷のビューポイントでしばし撮影タイム。天山山脈が川に浸食されて渓谷をつくり、地表に白く塩分が噴出しているため塩水渓谷と呼ばれている。断層が縦に走った奇岩が延々と続く。7000万年前にインド・プレートとユーラシア・プレートが衝突してヒマラヤ山脈ができたそうだが、大陸同士のぶつかり合いが如何に凄まじいものであるかが実感できる。いにしえのシルクロードはこの塩水渓谷沿いにあったそうで、かの玄奘三蔵もインドへの往路、ここを通っている。
 6年前も同じ場所で休憩し、添乗員の奥村君からこの川で玉が採れると聞いて、あるはずがないと思いながらも河原まで降りて探した経験がある。

2006_0824シルクロード 本淳0013 
(玉を品定めをする奥さん)

 玉【たま】ではなく、玉【ぎょく】。「玉石混淆」【ぎょくせきこんこう】や「完璧【かんぺき】の玉。古来から中国人が好む石で、魔除けの効果があるとされた。硬玉である翡翠【ひすい】は宝石とされるが、軟玉である玉は貴石に分類されて、世界的には価値が低い。しかし、中国では翡翠よりも珍重され、特に羊脂玉【ようしぎょく】(羊の脂のように白く、滑らかで艶があるので、この名がある)は高価で、現在の取引相場は1キロ150万円以上で、大きい物は1億円を超えるという。今朝ホテルの売店で買った10グラム程度のペンダントの言い値が780元(11,700円)。2つ買って1万円にさせたが、とにかく高い。
 一行のうち半数の人が河原まで降りただろうか。男性陣は川の水を嘗めてみて、塩分を含んでいるか確かめている。女性陣はと見ると、案の定、目を皿のようにして、川底の玉を探していらっしゃる。女性の宝石にかける執念が如何に凄まじいものであるかが実感できる。有る訳ないじゃ~ないですか。


2006_0823シルクロード 文子0022 

 午後2時55分、クズルガハ烽火台【のろしだい】に到着。クズルガハとはウイグル語で「赤い嘴のカラス」という意味だそうだ。クズルガハ烽火台は今から2000年前の前漢時代の烽火台の跡で、高さは16mある。 当時は15キロおきに烽火台が設置されており、異民族の来襲を都に知らせた。近くにクズルガハ千仏洞があるが、6年前に行っているし、たいして見るべきものもないので省略して、クムトラ千仏洞へ。キジル千仏洞の入場料が一人70元(1,050円)なのに対し、こちらはなんと500元(7,500円)。中国農民の平均年収が3,000元というから、われわれ18名が1時間ほど見学しただけで農民3人分の年収を稼ぎ出すことになる。

img_1230797_37522034_1[1] 

 地図を見ておわかりの通り、クムトラ千仏洞はムザルト川沿いにあり、キジル千仏洞の下流30キロの場所にある。船があれば30分ほどで着くらしいが、その船がないのでぐるっと大回りしなければならない。おまけに発電所から先へは車が入れず、ロバ車を使わなければならない。

2006_0824シルクロード 本淳0044 2006_0824シルクロード 本淳0052

 ロバ車のチャーター料が400元で、4人乗りだから一人100元(1,500円)。これも高いと思うが、ロバ車のおじさん達はこの辺りで営業しているのではなく、わざわざクチャの町から3時間半もかけて来たそうだから文句は言えない。
 こんなに費用がかかるのに、クムトラ千仏洞には見るべきものがあまり無い。玄奘三蔵が説法したと伝えられる五連洞にも壁画はほとんど無く、一部の窟は遊牧民が住まいとしていたため、煤【すす】けて真っ黒になっている。

2006_0824シルクロード 本淳0047 

 ロバ車に揺られること30分。笑顔で迎えてくれた管理人のおじさんに、私だけ握手を求められた。6年経っても顔を覚えてくれていたんだと、やや感激してその手をしっかり握った。感動の再会!ところがいつまで経っても、おじさん手を離さない。みんなは先に行ってしまい、私だけ取り残される格好になった。その時を待っていたかのように、おじさんがシャッターを切る仕草をした。私の前には鉄格子の入った石窟がある。壁画の写真を撮ってもいいと言うのだ。インドのアジャンター石窟寺院では写真撮影が許されていたが、中国の石窟は一切撮影禁止。これは犯罪行為だよと思いながらも、慌ててカメラを構えた。
 ところが慌てているので、どこを写していいのか分からない。迷っていると、おじさんが撮影ポイントを親切に指し示してくれる。午前中キジル千仏洞を案内してくれた葛軍さんら二人のガイドが、引き続き案内役を務めるため新疆亀茲石窟研究所から派遣されて来ている。彼女らに見つかったらえらいことになる。緊張で手が震えてなかなかシャッターが切れない。結局、撮れた写真は2枚だけ。おじさんには100元(1,500円)を要求され、高い写真になってしまった。

2006_0824シルクロード 本淳0045 

 おじさんの家(官舎?)は千仏洞の中にあり、家族と共に暮らしている。適齢期の娘3人の結婚費用を稼ぐため、時々こんなアルバイトをやっているらしい。足を引きずっているので聞いたら、バイクでこけて怪我をしたという。
 「それきっと千仏洞の仏さまの罰があたったんだよ。こんなアルバイトもう止めなさいよ。それに、そのお腹。明らかにメタボリックシンドロームだよ。気をつけないと娘が結婚する前に死んじゃうよ」とお説教したのだが、日本語が通じるはずもない。ニコニコ笑いながら、自家製のトマトと胡瓜をくれた。(つづく)
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【 2013/12/14 14:07 】

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