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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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世界史のミラクルワールドー「ラー・イラーハ イッラッラー」 ・六信五行

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アラビア語でアッラー

 イスラームとは「アッラーへの絶対的服従」の意で、アッラーと預言者ムハンマドを信じ、啓典である『コーラン』の教えに従って生きることを意味する。そのため、狭義の宗教面に限らず、社会生活全体をイスラームが律するものとされる。このため、主として近代キリスト教をモデルとして形成された「宗教」概念には適合しないとして、日本語では「教」をつけずに、イスラームと呼ばれることも多い。

 イスラーム教徒はムスリムと呼ばれ、「アッラーに絶対的に服従する者」を意味する。イスラームに改宗するためには、2人以上の証人の前で、「アッラー以の他に神はなく、ムハンマドは神の使徒であることを証言します」と唱えればよい。しかし、イスラームに改宗するということは、このような信仰告白をすることだけにとどまらない。ましてや、酒をひかえ、豚肉を食べなければ、4人まで妻を持つことふぁできる、ということを意味したのでもない。ムスリムには、イスラーム法(シャリーア)に従って正しく生きることが求められる。具体的には、神への信仰を深めるために、毎日の生活の中で六信五行を実践することである。

 六信とは、①アッラー、②天使、③啓典(コーラン)、④預言者、⑤来世、⑥予定(神の定め)を信じることである。

 ①のアッラー(アッラーフ)は固有名詞ではなく、一般名詞で「神さま」のこと。彼は6日間で天地を創造し、また最後の日には全人類を死者までも復活させ、最後の審判を行う。つまり、英語でいうGodであり、ユダヤ教・キリスト教のヤハウェと同じである。

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ノアと3人の息子

 ここで面白いお話をしよう。「方舟」で有名なノアはアダムから10代目の子孫で、彼には3人の息子がいた。セム、ハム、ヤペテの3人だ。世界史を習ったことのある人なら、セム語族とハム語族を思い出すと思うけど、セムはヘブライ人・アラム人・アラブ人などセム語族の祖、ハムは古代エジプト人・ベルベル人などハム語族の祖(最近の高校教科書では使用していない)とされている。
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 さて、そのセムから10代目の子孫がアブラハム(イスラーム教ではイブラーヒム)だ。アブラハムというと、神がその信仰心をためすために最愛の息子イサクを生贄として捧げるように命じた「イサクの燔祭【はんさい】」で知られる。ご存じだとは思うが、アブラハムは神の命に従ってイサクを生贄として捧げようとしたが、イサクの上に刃物を振り上げた瞬間、天から神の使いが現れてその行為を止め、イサクの命は助かっている。このイサクがヘブライ人のご先祖さんだ。

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イサクの誕生を喜ぶアブラハム
 
 アブラハムは老齢になっても嫡子の恵まれなかったが、なんと100歳の時に授かったのがイサクだった。この時、妻のサラは90歳。100歳と90歳の夫婦に子供が出来るはずはないと思うが、『旧約聖書』はそう書かれている。『旧約聖書』によると、人間の寿命はだんだんと短くなっているそうで、アダムは930歳、ノアは950歳で死んでいる。

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ハガルとイシュマエル

 実はイサクが生まれる14年前、サラの勧めによりアブラハムはサラの女奴隷ハガルとの間にイシュマエル(イスラーム教ではイスマーイール)という男の子をもうけた。アブラハムの長男ではあるが、庶子であった。イサクが生まれると、イシュマエルとハガルが邪魔になったサラにより、二人は沙漠に追放されてしまうが、このイシュマエルがアラブ人のご先祖さんだ。話が長くなったが、つまりモーセもイエスもムハンマドも遠い親戚筋にあたるので、それぞれが信仰する神は同じだということだ。同じ神を信仰しているのなら、もっと仲良くしてもよさそうなものだが、この3つの宗教は歴史上激しい争いを続けてきた。

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左が大天使ジブリール

  ②の天使(マラク)は霊的に神と人間の中間の存在であるとされ、神と人間の間で仲立ちを務める。ムハンマドに神の啓示を伝えたジブリールは、ユダヤ教・キリスト教のガブリエル。ジブリール・ミーカーイール・イズラーイール・イスラーフィールが4大天使。

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 ③の啓典(キターブ)は日本では『コーラン』と表記されるが、アラビア語では『クルアーン』で「読誦すべきもの」の意味。『旧約聖書』や『新約聖書』もイスラーム教の啓典であるが、これらは読まなくてもいい。

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 23年間にわたり大天使を通じて神自身が一人称で預言者ムハンマドに語りかけた啓示が、暗記により記録され、朗誦により広められたもの。その啓示はさまざまな形で伝わったいたが、第3代正統カリフのウスマーンが章句を整理し・統一し、現在に伝わるコーランの原形がつくられた。全114章からなり、唯一神と預言者の信仰、多神教の否定、終末と来世に関する警告などの宗教的規範から社会生活や法規定に至るまでの細かな規定が記されている。

 コーランは神の言葉であるため、翻訳は不可能とされる。そのため、ムスリムになると多少なりともアラビア語を習得する必要がある。なお、現在見られる他の言語への翻訳は解釈の一種とされる。

 
  ④の預言者(ナビー)は神意を人間に伝える者。コーラン(正しくはクルアーン)には25名の預言者が記されているが、アブラハム・ノア・モーセ・イエス・ムハンマドを5大預言者として位置づけ、コーランを伝えたムハンマドを「最後にして最大の預言者」としている。

 ⑤の来世(アーヒラ)は、人は死した後、復活した時に神の審判を受け、天国と地獄に分かれるということ。⑥の予定(カダル)は天命のことで、人間のすべての行為はアッラーの意志によっておこる。すべては神の思し召しであり、これを「インシャラー」という。

 この6つを信じている証として、ムスリムには五行が要求されることになるが、それは次回にお話ししょう。


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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2019/09/25 05:37 】

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