なまぐさ坊主の聖地巡礼
プロフィール
Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。
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マリ王国は西アフリカ内陸部、ニジェール川湾曲部を中心に、12世紀ごろ建設されたマンディンゴ人の王国。伝承によれば、紀元後数世紀に建設され繁栄したガーナ帝国の支配下にあったマリは、ガーナ帝国の勢力の衰退につれてトンブクトゥを中心に台頭した。
スンディアタ王のもと、西はガンビア、東はニジェール川沿岸のガオ、北はサハラ南縁のサハラを越えてくるアラブ人隊商の基地、南はニジェール川上流のバンブフ、ブレの金鉱まで、広大な地域を支配下に収め、ガーナ帝国にかわってサハラ縦断交易を独占することになった。
サハラ縦断交易では、主に北アフリカのベルベル人などのムスリム商人と西アフリカの黒人などとの間で交易が行われ、北からの塩や馬,南からの金や黒人奴隷などの取引が行われた。なかでも、サハラの塩と西アフリカの金が最も重要な交易品だった。西アフリカでは金が豊富に産出されたが、これは北西アフリカのイスラーム国家において金貨の鋳造などのために強く求められた。逆に西アフリカが最も必要としていたのは塩であったが、北西アフリカの商人はサハラ砂漠で採取された岩塩を持ち込んだ。
1352年にマリ王国を訪れたイブン=バットゥータによれば、岩塩と金についで重要性の高い交易商品は奴隷であり、その他に南からはコーラの実が、そして北からは奴隷交易用ビーズ やタカラガイの貝殻 (貨幣として使用された) が運ばれ、ガオ やジェンネ を含むニジェール川湾曲部の都市が繁栄した。とりわけ、トンブクトゥがその大いなる富でヨーロッパ全体で知られるようになり、「黄金の都」と呼ばれるようになった。
コーラの木
コーラの実はその名前の通り、コカ・コーラなどの原料である。コーラの種子はコーラ・ナッツと呼ばれ、少しずつ噛み砕いて楽しむ嗜好品として用いられる。嗜好品の多くが禁じられているイスラーム文化においては、コーラ・ナッツは唯一許された興奮剤であった。そのため、産地である熱帯雨林地帯ではほとんど消費されず、古くからサハラ交易においてもっぱら注目されて取引されていた。玉座に座るマンサ=ムーサ
マリ王国最盛期の国王が第9代のマンサ=ムーサ(在位1312年~1337年?)である。マンサはマンディンゴ語で「王の中の王」の意味、「ムーサ」は旧約聖書の預言者モーセのセム人風の呼び名で、カンカン=ムーサとも呼ばれる。
ムーサは敬虔なムスリムで1324年にメッカへの大巡礼を行った。その際、人夫6万人にそれぞれ3キロずつの黄金を運ばせていた。これだけで黄金180トンになる。ムーサは、その黄金は全てトンブクトゥで入手したと語ったという。
豪華なムーサの一行は周辺の国家にマリ王国の富裕さを知らしめた。巡礼の帰途、マムルーク朝のカイロで莫大な黄金をばらまいたのである。
ウマリーは『諸王都の国土における洞察の小道』で次ぎのように伝えている。
私が初めてエジプトに来て逗留していた頃、このスルタン・ムーサが巡礼にやって来た話を聞かされたものだが、カイロの住民たちは彼らの見たこの人々の豪勢な金遣いの話でもちきりだった。私はミフマンダールを努めるアミール、アブー・アルアッバース・アマドフ・インブ・アルハーキーに話を聞いた。……「この人はカイロで贈り物をばらまいた。宮廷のアミールや王室の役職者で、彼からなにがしかの黄金をもらわなかった者は一人もいない。カイロの住民は彼とその供回りの者たちから、買ったり売ったり、もらったり取ったりして存分に儲けた。彼らはエジプトの金の価値を低めるほど金を交換し、金の価格を下落させた」。
金相場が暴落したことにより、10年以上の間インフレーションが続いたとされる。
ムーサが保有していた総資産は現在の価値にして約4000億ドル(約35兆円)、もちろん人類史上最高額である。2019年世界の長者番付トップのAmazon創業者ジェフ=ベゾスの総資産は1310億ドルだから、ムーサーの足許にも及ばない。
ジンガリベリ・モスク
巡礼から帰ったムーサはトンブクトゥの3大モスクの1つ、ジンガリベリ・モスクを建造した。もとは屈指のマドラサ(学校)だったジンガリベリ・モスクは、建設費に200キロもの黄金が使われたと言われている。ただし、建物自体はワラと泥が材料で金は使われていない。
2012年に入り、トンブクトゥは2つの武装グループ、「アザワド解放民族運動(MNLA)」と「アンサール・ディーン(Ansar Dine)」に占領されており、ユネスコは2012年6月、トンブクトゥにあるジンガリベリ・モスクなど5つの世界遺産を「危機遺産」リストに追加した。
建造から700年を経たジンガリベリ・モスクは、今最大の危機にある。
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2012年に入り、トンブクトゥは2つの武装グループ、「アザワド解放民族運動(MNLA)」と「アンサール・ディーン(Ansar Dine)」に占領されており、ユネスコは2012年6月、トンブクトゥにあるジンガリベリ・モスクなど5つの世界遺産を「危機遺産」リストに追加した。
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