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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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眠れない一夜ー高山病が恐~い!

8月5日(火)

 本当か嘘か分からないが、チベット人は一生の間に3回しか風呂に入らないそうだ。(その3回が、いつなのかは知らない。)なんて不潔な、と思ってはいけない。厳密には入らないのではなく、入れないのだ。チベットは極度に乾燥しているので、風呂に入って皮膚の脂分を落としてしまうと、皮膚病にかかってしまうそうだ。

 郷に入っては郷に従え、とは言うが、従えないこともある。それにチベットにはたった4日しか滞在しないから、皮膚病になることもあるまい。ゆっくり湯船に浸かって疲れを癒そうと思ったのだが、奥村君から禁止命令が出た。高地での風呂は体力を消耗し、高山病の原因となるそうな。仕方なくシャワーを浴びて、寝ることにした。

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 高山病は高地に着いてすぐにかかるのではなく、着いた日の夜、寝ている時に症状が現れることが多いそうだ。用心のために高原安も飲んでいるし、1本30元の携帯用酸素ボンベも買ってある。いざという場合に備えて説明書を読んでベッドに入ったのだが、なんとなく不安で寝付けない。こんな時は酒を飲むに限るのだが、それも出来ない。しばらく悶々としていたが、昼間の疲れからか、いつしか寝入ってしまった。

 ところが2時間程して、尿意を覚えて目が覚めた。身体を起こす前に確認してみる。頭は痛くないか……。ん、痛くない。ほっと、胸をなで下ろす。案ずるより産むが易し。高山病などと大騒ぎする必要はない。安心して、おしっこをして、またベッドに入ったのだが、それから2時間おきにおしっこで起こされた。どうも、高原安の副作用のようである。

8月6日(水)

 そんなわけで、チベット最初の朝は寝不足気味で迎えることとなった。

セラ寺

 午前9時、バスでラサの中心地から北に8キロほどのところにあるセラ(色拉)寺へ。セラ寺は仏教大学とも言えるゲルグ派最大の寺院で、最盛期には4つの学堂があり、5500人もの僧侶がいたと言われる。セラ・ウチェ山の麓に多くの堂宇が建ち並んでいる。

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 チェ・タツァンは顕教を学ぶ学童で、セラ寺で最大の規模を誇る。

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 チベットに密入国した河口慧海や多田等観もこの寺で修行した。河口慧海は「法華経は仏となる方法を示した説明書であって、薬の効能書きのようなものである。薬の実体の部分はない」と言った不埒【ふらち】な方だが、チベット大蔵経を日本に招来した功績は大きい。講堂内にある修学塔の前で読経し手を合わせた。

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 建ち並ぶ僧堂群の中に養老院があった。チベットでは子供のうち一人は坊さんにする習慣がある。厚い信仰心の現れであるとともに、口減らしの意味もあるのだろう。年端もいかない子供が親許を離れ、寺に預けられる。家族が恋しくて泣く日もあったであろう。親を恨んだこともあったに違いない。厳しい修行に明け暮れる毎日。いつしか年老いて、我が家に帰ることもなく、養老院で若い坊さんの世話になりながら、来世へと赴く。そんなことを考えて、切なくなってしまった。

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 午前11時、ノルブリンカへ。ノルブリンカは「宝の庭」という意味で、歴代ダライ・ラマがチベット暦の4月から9月までの夏場に滞在された離宮だ。 1959年に人民解放軍がラサに入った際に、ダライ・ラマ14世はこの王宮から密かに脱出し難を逃れたそうで、彼が使用していたラジオやレコードプレイヤーが今でも残されている。

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 近くで面白いものを発見した。究極のソーラー湯沸かし器だ。ラサは「太陽の都」と言われるように、無茶苦茶に日射しが強い。太陽光をさえぎる空気が薄いからだ。そのため、こんな簡単な器具ですぐに湯が沸くそうだ。でも、当然標高が高いから沸騰はしないんだよね。ということはご飯を炊いたらメッコになるということだけど、圧力釜で炊くんかな?いや、チベット人は米喰わないか。まあ、どうでもいいや。明日はいよいよポタラ宮だ!!(つづく)


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【 2014/01/18 15:20 】

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