なまぐさ坊主の聖地巡礼
プロフィール
Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。
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8月7日(木)
今日はいよいよカロ・ラを越えて、江攻(ギャンツェ)へ向かう。カロ・ラってトヨタの車じゃなくて、峠の名前。ラはチベット語で峠のことだから、カロ峠ってことだ。新しい道を通るという手もあったのだが、雄大なチベットの自然をどうしても見たいという、僕のたっての願いで旧道を通ってもらうことになった。
今日はいよいよカロ・ラを越えて、江攻(ギャンツェ)へ向かう。カロ・ラってトヨタの車じゃなくて、峠の名前。ラはチベット語で峠のことだから、カロ峠ってことだ。新しい道を通るという手もあったのだが、雄大なチベットの自然をどうしても見たいという、僕のたっての願いで旧道を通ってもらうことになった。
午前7時30分ホテルを出発したバスは、ヤルツァンポ川の支流・キチュ川に沿って空港への道を1時間ほど走った後、曲水大橋を渡って右に折れ、山道に入った。ここから一気に標高5,000メートルのカロ・ラを目指す。道は幅4メートル程しかない、舗装してないガタガタ道で、ガードレールは当然のようについていない。それなのに、クラクションをけたたましく鳴らして、追い越しをかけて来る馬鹿が時折現れる。
運転手さんはバスを道の右側に寄せる。そう、中国で車は左ハンドル、右側通行。僕の座席は右側の窓側。必然的に僕の顔は右を向く。窓の下は草しか生えていない急斜面で、数百メートル下をヤルツァンポ川が流れている。「猫・馬鹿・坊主の高上がり」と言うが、その二つを兼ね備えているせいか、僕は高い所にはめっぽう強い。しかし、「日本人観光客を乗せたチベットの観光バスが川に転落。乗客・乗員17名行方不明」という新聞記事を想像し、追い越しをかけられる度に肝を冷やした。
この日のために、わざわざ高度計付きの時計を買って来た。3,800、4,000、4,200、と高度計はその数字を次第に増していく。百メートル高度が上がる度に、「ただ今の高度は◯◯メートル!」と報告するのだが、反応がない。みんな眠っているのだ。ここで眠ったら高山病になる。ラサの初日と同じように、「眠っちゃいかん!!」と励まし合いながらの道中になった。

この日のために、わざわざ高度計付きの時計を買って来た。3,800、4,000、4,200、と高度計はその数字を次第に増していく。百メートル高度が上がる度に、「ただ今の高度は◯◯メートル!」と報告するのだが、反応がない。みんな眠っているのだ。ここで眠ったら高山病になる。ラサの初日と同じように、「眠っちゃいかん!!」と励まし合いながらの道中になった。
山道に入って2時間ほどでカンパ・ラ(標高4,750メートルの峠)に到着。
眼下にはチベット三大聖湖の一つ、ヤムドク湖の碧【あお】い水が広がっている。ヤムドクはチベット語で「トルコ石の湖」の意味。その名の通りトルコ石のように碧く光り、神秘的な雰囲気を漂わせている。 峠には経幡(ローンダ)があり、旅の無事を願ってたくさんのタルチョやカタが結び付けられている。前にも少し書いたが、カタは初めて会う人や目上の人などに面会する時、尊敬の意を込めて贈るシルク製の薄いスカーフで、仏さまに掛けたり、無病息災を祈って経幡に結んだりもする。
ラサに着いてすぐ李さんから1枚、ホテルからも1枚もらっていたので、家族と檀信徒の方々の身体健全を祈って、僕も経幡に結び付けて来た。ご利益がありますように。
地上では見ることの出来ない空の青さ、刻々と姿を変える低い雲の流れに見入っていると、いつのまにかヤクを連れた小母さんや子供に取り囲まれてしまった。チベット語で話しかけられても分かるはずがないが、どうも「ヤクに乗っても記念撮影は如何でしょうか。お安くしておきます」と、言っているようだ。

地上では見ることの出来ない空の青さ、刻々と姿を変える低い雲の流れに見入っていると、いつのまにかヤクを連れた小母さんや子供に取り囲まれてしまった。チベット語で話しかけられても分かるはずがないが、どうも「ヤクに乗っても記念撮影は如何でしょうか。お安くしておきます」と、言っているようだ。
うちの奥さんは、小母さんの口車に乗せられて、ヤクに乗せられた。シルクロードの旅の時も、陽関【ようかん】遺跡で古代のロマンに浸ろうと思ったら、「馬に乗れ」、「駱駝【らくだ】に乗れ」と商魂逞【たくま】しい小母さんに囲まれたけど、邪魔するなっちゅうの。
「ヤクに乗っても何の役にも立たんだろう。あっちへ行け」と、追っ払ってやった。これが本当のヤク祓【はら】いだ。
(つづく)
「ヤクに乗っても何の役にも立たんだろう。あっちへ行け」と、追っ払ってやった。これが本当のヤク祓【はら】いだ。

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