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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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法華経信解品第4 「長者窮子の譬え」による理解の表明

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  世尊よ、例えば誰かある男が父親のそばから立ち去ったとしましょう。立ち去ってから、その男は他の国のある所に到りました。その男は、20年、30年、40年、あるいは50年もの長い間、その国に住みました。

 さて、世尊よ、その男が大人になりました。しかしながら、その男は貧しくて、食べ物や着るものを得るために生業なりわいを探し求め、四方八方をさまよいながら、他の国のある所にたどり着きました。

 一方、その男の父親も、どこかのある国に出かけたとしましょう。その父親は、多くの財産、穀物、金貨、倉庫、収蔵庫、そして家を所有していて、多くの金、銀、宝石、真珠、瑠璃るり螺貝らがい碧玉へきぎょく珊瑚さんご、黄金、白銀を所有し、また多くの女召使いや、召使い、職人、雇い人を抱え、さらには多くの象、馬、車、牡牛、羊を所有しています。

 その父親は、数多くの侍者を従え、大きな国々の中で裕福な人となって、富の蓄積や、利子を取っての金融業、また農業や、交易で繁盛していました。 

 さて、世尊よ、その貧しい男は、食べ物や着るものを探し求めるために、村や、町、城市、国、王国、王城をさまよいながら、次第にその貧しい男の父親が住んでいるその町にたどり着いたとしましょう。
 
 世尊よ、貧しい男のその父親は、その町に住みながら、50年もの間、行方不明のその息子のことを常に思い続けていました。そして、その息子のことを思い続けながら、その父親ただ一人が、自分で自分のことを苦しんでいるだけで、その息子のことを決して誰にも語ることはありませんでした。

 そして、次のように考えていました。(長者窮子ちょうじゃぐうじたとえ)

 『私は、年老いた老人で、老衰している。私には多くの金貨、黄金、財宝、穀物、倉庫、収蔵庫、そして家が存在する。けれども、私には息子が誰もいない。ああ、実に悲しいことだ。私に死ぬようなことがなく、これらすべてが享受されずに失われることがないことを願いたい』と。

 その人は、その息子のことを何度も繰り返して思い出します。

『ああ、もしも、私の息子がこの財宝の山を享受するならば、私は確かに安心するであろう』

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 その時、世尊よ、その貧しい男の父親は、自分の邸宅の門のところで数多くのバラモン(司祭階級)、クシャトリヤ(王族)、ヴァイシャ(商人)、シュードラ(奴隷階級)の人たちの集まりに囲まれ、尊敬され、金と銀で飾られている足を乗せる台のついた卓越した獅子座に坐っていました。数え切れないほど多くの金貨を取り引きし、毛の扇であおがれながら、日傘が広げられ、かれた花が散り乱れ、宝石の花環が垂れ下がった所に、大いなる威厳をもって坐っています。

 世尊よ、その貧しい男は、自分のその父親が、邸宅の門のところに、このような威厳をもって坐っていて、数多くの人たちの集団に囲まれ、資産家としての仕事をしているのを見ました。その貧しい男はそれを見て、さらに恐怖し、おののき、悩み、身の毛がよだち、身震いする思いを抱き、次のように考えました。

 『思いがけないことに、俺はこの王様か、王様と同等の権威を持つ人に出くわしてしまった。ここには俺のする仕事は
何もない。俺のようなものは、立ち去ろう。貧民街なら俺のようなものの食べ物や着るものが、苦労もせずに手に入るだろう。俺はこんなところで長い間、躊躇ちゅうちょなんかしていられない。もちろん、俺はここで捕えられて強制労働をさせられたり、その他のひどい目に遭ったりすることなどご免こうむりたい』と。

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 すると、世尊よ、その貧しい男は、自分が捕らえられたならば、苦しみが立て続けに起こるだろうと考えて、恐怖におののいて、急いで逃げ出し、逃走し、そこに留まることはないでありましょう。

 その時、世尊よ、自分の邸宅の門のところで獅子座に坐っていたその裕福な人は、まさにその男を見るやいなや、それが自分の息子であることを了解しました。自分の息子を見て、満足し、心が高ぶり、狂喜し、喜び、喜悦と歓喜を生じました。そして、次のように考えました。

 『たった今、この多くの金貨、黄金、財宝、穀物、倉庫、収蔵庫、そして家を享受するものが見つかった。実に不思議なことである。私は、これまでこの息子のことを何度も思い出した。その息子が今、まさに自分からここにやって来た。しかも、私は年をとった高齢の老人である』と。

 すると、世尊よ、息子を渇望して苦しんでいたその人は、その瞬間のそのまた瞬間のうちに、敏速な侍者を派遣しました。

 『お前たち、行ってあの男をすぐに連れてきなさい』と。

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 すると、世尊よ、まさにそれらのすべての侍者たちは、速やかに走り去り、その貧しい男を捕まえました。その貧しい男は、恐れ、おののき、悩み、身の毛がよだち、身震いする思いを抱き、激しく悲嘆した声を発し、声高に叫び、うめき声を上げました。そして、『俺は、お前たちに何も危害を加えてなんかいない』と訴えました。

 しかしながら、それらの侍者たちは、うめき声を上げているその貧しい男を力ずくで引きずって来ました。その貧しい男は、恐れ、おののき、悩み、身震いする思いを抱き、次のように考えました。

 『俺は、ただ単に、殺されることも、棒で打たれることも嫌だ。俺は死にたくない』

 その貧しい男は、気絶して地面に倒れ、意識を失いました。その父は、この貧しい男のそばに来て、それらの侍者たちに次のように言うでありましょう。
 
 『お前たちは、その男をそのように連れて来てはならない』と。
 
 その父は、その貧しい男に冷たい水をかけたが、その後は、さらに話しかけることはありませんでした。それは、どんな理由によってでしょうか?その資産家は、自分自身には威厳に満ちた力があるのに、その貧しい男は、長い貧乏暮らしで心が卑屈になっている。それにもかかわらず、『これは私の息子である』と誰にも話すことはないでありましょう。

 そこで、世尊よ、その資産家はある侍者に告げました。
 
 『さあ、侍者よ。お前は行って、あの貧しい男に次のように言いなさい。〈さあ、男よ、お前は行きたいところに行くがよい。お前は解放されたのだ〉と』

 資産家がこのように言うと、その侍者はその命令を承って、その貧しい男に近づきました。そして、その貧しい男に次のように言いました。

 『さあ、男よ。お前は行きたいところに行くがよい。お前は解放されたのだ』と。
 
 すると、その貧しい男はこの言葉を聞いて、不思議で驚くべき思いになりました。その男は、そこから立ち上がって、貧民街のあるところへ食べ物や着るものを探し求めて近づきました。

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 そこで、その資産家は、その貧しい男を自分に近づけるために、巧みなる方便を用いるのでありましょう。その資産家は、顔色が悪く、力の弱弱しい二人の侍者を用いました。

 『お前たちは、行きなさい。先ほどここに来ていたあの男を、お前たちは自分の言葉で2倍の日給で雇って、私のこの邸宅で仕事をさせなさい。もしも、その男が〈どんな仕事をするのか?〉と尋ねたならば、お前たちはその男に、〈俺たち二人と一緒に、肥溜こえだめを綺麗きれいにするのだ〉と、このように言いなさい。

 すると、その二人の侍者たちは、その貧しい男を探し出して、その仕事を与えました。さて、その二人の侍者とその貧しい男は、その大金持ちの人から賃金をもらって、その邸宅において肥溜めを綺麗にしました。そして、その大金持ちの人の家の近くにある藁葺わらぶきの小屋に3人は住みます。(つづく)


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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2022/06/10 05:17 】

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