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なまぐさ坊主の聖地巡礼

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ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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法華経薬王菩薩本事品第23 一切衆生喜見菩薩の焼身供養

 第22章 薬王の過去との結びつき
薬王菩薩本事品 やくおうぼさつほんじほん第23)
ダウンロード (4)

 その時、宿王華 しゅくおうけ(星宿の王によって花で飾られた神通を持つもの)という偉大な人である菩薩は、世尊に次のように申し上げた。

 「世尊よ、いかなる理由で薬王菩薩は、このサハー世界を遍歴するのでありましょうか?しかも、世尊よ、この菩薩には幾100・1000・コーティ・ナユタもの多くのなし難いことが見られます。

 世尊であり正しく完全に覚られた尊敬されるべきブッダは、何であれ、薬王菩薩に具わる行ないの一部分だけでも、どうか説き示してください。それを聞いて、神々、龍、ヤクシャ、ガンダルヴァ、アスラ、ガルーダ、キンナラ、マホーラガ、人間、人間以外のものたちや、そのほかの世界からやって来た偉大な人である菩薩たち、さらにはこれらの偉大なる声聞たちのすべてが聞いて、喜び、満足し、心が高揚し、心が満たされるでありましょう」と。

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 すると、世尊は、宿王華菩薩の願いを知って、その菩薩に次のようにおっしゃられた。
 
 「良家の息子よ、かつて、ガンジス河の砂の数に等しい劫を隔てた過去の世に、その時その情況で、
日月浄明徳 にちがつじょうみょうとく(月と太陽の汚れのない光明によって吉祥であるもの)という名前の正しく完全に覚った尊敬されるべきブッダが世間に出現したのだ。

 しかも、宿王華よ、その世尊である日月浄明徳如来には、80・コーティもの偉大な人である菩薩たちの大集団が属しており、また、このブッダには72のガンジス河の砂の数に等しい声聞たちの集団が属していた。

 しかも、その説法の場には、女性はいなかったし、地獄や、畜生、餓鬼、アスラといった4つの悪しき境遇の群衆もいなかった。そのブッダの国土は、てのひらのように平坦で、喜ばしく、大地が天上の瑠璃 るりで造られていて、宝樹や栴檀 せんだんの木で見事に飾られ、宝石の網が風に揺れ動いて、連綿とした細長い布片の帯が垂れ下がり、宝石の香炉で香がかれていた。

 そして、すべての宝樹の根もとには、矢の射程の高さほどのところまで宝石造りの高楼がそびえ立っていた。また、すべて宝石造りの高楼の頂上には、幾100・コーティもの神々の子たちが、その日月浄明徳如来に対する供養のために、楽器、シンバル、合唱を演奏し続けていた。
 
 さらに、その世尊は、一切衆生喜見 いっさいしゅじょうきけん(あらゆる衆生が喜んで見るもの)という偉大な人である菩薩を足がかりとなして、それらの偉大なる声聞たちや、それらの偉大な菩薩たちのために、この「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門を詳しく説き明かした。

 ところで、宿王華よ、その世尊である日月浄明徳如来の寿命の長さは4万2000劫であったし、また、それらの偉大な人である菩薩たちと、それらの偉大なる声聞たちの寿命の長さもそれと同じであった。

 
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 そして、その一切衆生喜見菩薩は、その世尊の説法のもとで困難な修行に専念した。その菩薩は、1万2000年の間、そぞろ歩きの場所に立ち、卓越した努力精進への取り組みによって、精神統一に専念していた。1万2000年の経過の後、一切衆生喜見菩薩は、満足して、心が高揚し、心が満たされ、狂喜し、喜悦と歓喜を生じ、その時、次のように考えた。

 『この「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門の故に、私は、この現一切色身 げんいっさいしきしん(あらゆる姿を顕現すること)という三昧 さんまいを獲得した。』
 
 その時、その一切衆生喜見菩薩は次のように考えた。

 『そういうわけで、私は、世尊である日月浄明徳如来と、この「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門に対して供養をしよう』

 その時、その菩薩は、その三昧に入った。その三昧に入るやいなや、その時、直ちに上方の空中から曼陀羅華と大曼陀羅華の大いなる花の雨が降った。また、カーラ・アヌサーリン栴檀の雲がわき起こり、ラガウ・サーラの栴檀の雨が降った。

 しかも、宿王華よ、そのような香の種類は、価格の点では、その1カルシャ(約18g)の重量が、このサハー世界に匹敵するほどである。

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 そこでさらに、その一切衆生喜見菩薩は、しっかりとした意識をもって、思慮深く、その三昧から立ち上がった。立ち上がってから、次のように考えた。

 『神力によって奇跡を顕現して世尊に供養をなすことは、自己の身体を喜捨することによって供養をなすことには、はるかに及ばない』と。

 そこでさらに、その一切衆生喜見菩薩は、その時、香木の沈水香、トゥルシュカ、クンドゥルカの樹液を飲み、また、チャンパカの〔花から採った〕香油を飲んだ。
 
 しかも、そのようにして、その一切衆生喜見菩薩は、絶えることなく常に香を飲食し、チャンパカの花の油を飲み続けているうちに、12年が過ぎ去った。

 すると、その一切衆生喜見菩薩は、その12年の経過の後、自分の身体を天上の衣で包んで香油の中にけ、自らに願力を加えた。自らに願力を加えて後、ブッダに対する供養のために、また、この「白蓮華のように最も勝れた正しい教え」という法門に対する供養のために、自分の体に火を着けた。

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 すると、その一切衆生喜見菩薩の身体の燈火から放たれたそれらの光とほのおに照らされて、80のガンジス河の砂の数に等しい世界が明らかに出現した。そして、それらの世界において、まさに80のガンジス河の砂の数に等しいそれらの世尊であるブッダたちのすべてが、感嘆の言葉を発した。
 
 『素晴らしいことである。素晴らしいことである。良家の息子よ、あなたは、実に素晴らしい。良家の息子よ、これこそが、偉大な人である菩薩にとって、真の努力精進への取り組みであり、これこそが、真実のブッダに対する供養であり、法に対する供養である。花や、末香、薫香、花環、塗香、焼香、衣、日傘、旗、幟による供養も、それに及ぶことはなく、喜ばしいものによる供養も及ぶことはなく、ウラガ・サーラ栴檀による供養も及ぶことはないのだ。

 良家の息子よ、これこそが、最高の布施であり、王国を喜捨する布施も、愛する息子と妻を喜捨する布施も、それに及ぶことはないのだ。さらに、良家の息子よ、この自己の身体を喜捨することは法に対する供養であって、最上にして、最高であり、最善で、最も勝れ、卓越したものなのである』

 そこで、さらに、宿王華よ、それらの世尊であるブッダたちは、以上の言葉を語ると、沈黙してしまった。(つづく)

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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2023/05/02 05:32 】

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コメント

--- 正法を実践 ---

神力によって奇跡を顕現して世尊に供養をなすことは、自己の身体を喜捨することによって供養をなすことには、はるかに及ばない』読解力が低いので教えて下さい。神通力を得る事が一番と言う事ですか🙏
本田 正  *  URL[編集] 【 2023/05/02 17:21 】
--- 正法を実践 ---

神力によって奇跡を顕現して世尊に供養をなすことは、自己の身体を喜捨することによって供養をなすことには、はるかに及ばない』読解力が低いので教えて下さい。神通力を得る事が一番と言う事ですか🙏
本田 正  *  URL[編集] 【 2023/05/02 17:22 】
--- Re: 正法を実践 ---

ご返事遅くなりました。神力によって奇跡を起こして供養することよりも、焼身供養のほうがはるかに布施として優れているということですが、これは自らの決意が真実であることを示すための譬喩的表現方法で、本来の法華経の思想からは相反するものです。
ホンジュン  *  URL[編集] 【 2023/05/04 09:53 】

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