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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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愛子に先立たれた母のために 上野殿母尼御前御返事③

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波木井の御影(身延山久遠寺蔵)

上野殿母尼御前御返事うえのどのははあまごぜんごへんじ

 この法華経のはじめ無量義経むりょうぎきょうと申す経おはします。たとえば大王の行幸みゆき

御時将軍前陳ぜんちんして狼藉ろうぜきをしづむるがごとし。その無量義経にいはく、

〔「四十余年にはいまだ真実を顕さず」〕等云云。これは将軍が大王に敵

する者を大弓をもつてはらい、また太刀たちをもつて切りすつるがごと

し。

 華厳経を読む華厳宗・阿含経の律僧りつそう等・観経かんぎょうの念仏者等・大日経の

真言しんごん師等の者共ものどもが法華経にしたがはぬをせめなびかす利剣りけん勅宣ちょくせん

り。譬ば貞任さだとう義家よしいえが責め、清盛きよもり頼朝よりともの打ちうしなわせしがごとし。無

量義経の四十余年の文は、不動明王ふどうみょうおう剣索けんさく愛染あいぜん明王のゆみ
なり。

南条五郎殿の死出しでの山、三途さんずの河を越し給はん時、煩悩ぼんのう山賊・罪業ざいごう

の海賊を静めて、事故ことゆえなく霊山浄土りょうぜんじょうどへ参らせ給ふべき御供おんとも兵者つわもの

は、無量義経の「四十余年
未顕真実みけんしんじつ」の文ぞかし。

【現代語訳】

無量義経について
                                 ※1
 この法華経のすぐ前に無量義経というお経がある。例えば大王の行列に先立って、将

軍が先に進み乱暴をしようとする者をしずめるようなものである。その無量義経の中に

「仏は最初に法を説かれてからこのかた四十余年になるが、いまだ方便の教えのみであ

って、真実の教えは説かれていない」とある。これは将軍が大王に敵対する者を、大弓

でもって射払い、また太刀をもって切り捨てるようなものである。

 華厳経を読む華厳宗の人々、阿含経による律の僧ら、観無量寿経かんむりょうじゅきょうを信仰する念仏

宗の人ら、あるいは大日経を信ずる真言宗の人師らなどが、法華経にしたがって信仰し

ないのを攻めなびかすための名刀であり勅宣である。例えば阿部貞任を源義家が攻めほ

ろぼし、平清盛を源頼朝が打ち破ったようなものである。無量義経の「四十余年」の文

は、ちょうど不動明王の剣となわであり、愛染明王の弓と
にあたる。

 亡くなられた南条五郎殿が、死出の山や三途の河を渡ろうとする時に、煩悩の山賊や
                                                                               ※2
罪業の海賊が出て来て妨害しようとするのをしずめて無事に霊山浄土へまいるように守
                                           ※3
るお供の兵士は、この無量義経の「四十余年いまだ真実をあらわさず」の文である。

(つづく)

【語註】

 ※1 無量義経:
法華三部経の一つで開経といわれている。一法が展転して無量無辺の
    義を生じるので無量義経と名づけたといわれる。1巻。徳行品第1、説法品第2、
          十功徳品第3の三品からできている。とくに説法品の中で「四十余年にはいまだ
          真実をあらわさず。この故に衆生の得道差別して、疾く無上菩提を成ずることを
          得ず」とあり、日蓮聖人はこの経文に大きな意義を寄せているのである。

 ※2 霊山浄土:
日蓮聖人によると仏が法華経を説かれた山であり、仏が常に住み給う
    浄土であって、時間や空間を超越した純粋に宗教的な世界である仏国土のこと。
           法華経の行者の究極の境地である。身延入山後は身延山をもって霊山浄土である
           という考えを持たれるに至っている。

 ※3 四十余年未顕真実:無量義経の「四十余年いまだ真実をあらわさず」という経文
    は、日蓮聖人にとってはとりわけ重要な経文として扱われている。法華経と諸経
          との相違をこの経文によって論述されているのである。

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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2023/07/21 05:33 】

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