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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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命は第一の宝 富木尼御前御書①

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波木井の御影(身延山久遠寺蔵)

富木尼御前御書ときあまごぜんごしょ

建治2年(1276)3月27日、55歳、於身延、和文

 下総(千葉)中山から富木常忍が母の遺骨を奉じて身延に詣でたのに託して、病床にある尼御前(富木夫人)を慰め、励ましたもの。夫や姑によくつくしたことを讃え、灸治と信心による病気の回復をすすめ、また戦争で苦しむ人々の嘆きにも心をかよわせ、女人成仏の道を披歴している。

 鵞目がもく一貫並びにつつ(筒)ひとつ給ひ候ひ了んぬ。

 やのはしる事は弓のちから、くものゆくことはりう(竜)のちから、

をとこのしわざはのちからなり。いまときどののこれへ御わたりある

事、尼ごぜんの御力なり。

 けぶりをみれば火をみる、あめ(雨)をみればりう(竜)をみる。を

とこを見れば女をみる。今ときどのにけさん(見参)つかまつれば、尼

ごぜんをみたてまつるとをぼう。

 ときどのの御物がたり候ふは、「このはわ(母)のなげきのなかに、

りんずう(臨終)のよくをはせしと、尼がよくあたり、かんびやうせし

事のうれしさ。いつのよ(世)にわするべしともをぼへず」と、よろこ

ばれ候ふなり。

 なによりもをぼつかなき事は御所労なり。かまへてさもと三年、はじ

めのごとくに、きうぢ(灸治)せさせ給へ。病なき人も無常まぬがれが

たし。ただしとしのはてにはあらず。法華経の行者なり。非業の死には

あるべからず。より業病にては候はじ。たとひ業病なりとも、法華経の

御力たのもし。

 阿闍世王あじゃせおうは法華経をたもちて四十年の命をのべ、陳臣ちんしんは十五年の命をの

べたり。尼ごぜんまた法華経の行者なり。御信心月のまさるがごとし、

しを(潮)のみつるごとし。いかでか病もせ、寿ものびざるべきと強

盛にをぼしめし、身を持し、心に物をなげかざれ。

【現代語訳】

妻の力

 ※ 1一貫、ならびに酒一筒お届けいただきました。お礼申し上げます。

 矢が飛ぶのは弓の力によるものですし、雲が行くのは竜の力によるものです。そのよ

うに、夫の行ないは妻の力によるというのが人の世の習いです。いま富木殿が、この山

深い身延の里までおいでくださったことは、ひとえに妻であるあなたのお力によるもの

と感謝いたします。

 煙を見ればそれを上らせている火を見る思いがし、雨を見ればそれを降らせている竜

を見る思いがします。そのように、夫の行ないを見ればそれをさせている妻を見る思い

がしますいま富木殿にお目にかかりましたらあなたとお会いしたように思われます。

 富木殿がお話の中で、「このたび母が亡くなった悲しみは深いけれど、臨終のありさ

まが良かったことと、妻が母によく尽くして看病をしてくれたことの嬉しさは、いつの

世までも忘れることができない」と言って喜んでいらっしゃいましたよ。

病気回復への励まし

 さて、何よりも気がかりなのは、あなたのご病気です。きっと治るに違いないと信じ

て、3年間、当初のように灸治をなさってください。死というものは病気のない人でも

免れがたいものです。しかし、あなたは、まだそれほどの年齢ではないし、まして法華

経の行者ですから、非業の死などは絶対にありません。病気の方も、まさか※ 2
病ではな

いでしょう。もしかりに業病だとしても、法華経の疾病平癒の威力は頼もしいものです

から大丈夫です。

 インドの※ 3
闍世王は、法華経を信仰して40年間の命を延ばしましたし、中国の※ 4
臣も

同様に15年間の命を延ばしました。あなたは法華経の行者です。ご信仰心は、月が丸く

なっていくように、潮が満ちていくように、ますます盛んになっていらっしゃいます。

どうして病気が消滅し寿命が延びないはずがあろうかという信念をしっかりとお持ちに

なって、身体をいたわり、心に苦悩がないようにしてください。(つづく)

【語註】

 ※1 銭一貫:鵞目とは、鵞鳥の目にように丸く穴があいている銭の異称。一貫文は銭
          1000枚のことで、当時の記録によれば、米1石(10斗=役180リットル)を買
          えたという。

 ※2 業病:悪業の報いとしてかかると考えられた難病。

 ※3 阿闍世王:「敵を生じないもの」を意味するアジャータシャトルの音写。前5世
           紀頃のインドのマガダ国王。父のビンビシャーラ王を殺して王位に就いたが、の
           ち釈尊の教えに従い、仏教教団の保護者になった。

 ※4 陳臣:天台大師智顗の兄。張果仙人から1カ月後に死ぬと予言されたが、天台大
             師から小止観の教えを受け修行することによって15年間寿命を延ばしたという。

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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2023/10/14 05:38 】

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