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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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真の孝養と仏道をめざして 光日房御書⑤

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波木井の御影(身延山久遠寺蔵)

光日房御書こうにちぼうごしょ

 人間に生をうけたる人、上下につけてうれへなき人はなけれども、時

にあたり、人々にしたがひて、なげきしなじな(品々)なり。たとへば、

病のならひはいずれの病も、重くなりぬれば、これにすぎたる病なしとをも

うがごとし。主のわかれ、をや(親)のわかれ、夫妻のわかれ、いづれ

かおろかなるべき。なれども主は又他の主もありぬべし。夫妻は又かは

りぬれば、心をやすむる事もありなん。をやこのわかれこそ、月日のへ

だつるまゝに、いよいよなげきふかかりぬべくみへ候へ。をやこのわか

れにも、をやはゆきて子はとど(留)まるは、同じ無常なれどもことは

りにもや。をひたるはわ(母)はとどまりて、わか(若)き子のさきに

たつなさけなき事なれば、神も仏もうらめしや。いかなれば、をやに子

をかへさせ給ひてさきにはたてさせ給はず、とどめをかせ給ひて、なげ

かさせ給ふらんと心うし。心なき畜生すら子のわかれ(別)しのびがた

し。竹林精舎の金鳥こんちょうは、かひこ(卵)のために身をやき、鹿野苑ろくやおんの鹿

は、胎内の子ををしみて王の前にまいれり。いかにいわうや心あらん人

にをいてをや。されば王陵が母は子のためになづき(頭脳)をくだき、

神堯しんぎょう皇帝の后は胎内の太子の御ために腹をやぶらせ給ひき。此等をを

もひつづけさせ給はんには、火にも入り、頭をもわりて、我子の形をみ

るべきならば、をしからずとこそ、おぼすらめとをもひやられてなみだ

もとどまらず。

【現代語訳】

老母はとどまり若き故子が先立つー光日尼の嘆き

 人間として生を受けた以上、身分の上下にかかわらず憂いのない人はありませんが、

時により人によってその歎きはさまざまです。たとえば病の常としてどのような病でも

重くなれば、これ以上の辛い病はないと思うようなものです。これと同じように主従の

別れ、親子の別れ、夫婦の別れもいずれ劣らぬ歎きではありますが、たとえ主君は失っ

てもまた他の主君に仕えることもできます。夫婦もまたたとえ別れても、代わりを迎え

れば心を休めることもできましょう。しかしながら親子の別ればかりは、月日も経てば

経つほどその歎きはいよいよ深くなるばかりです。親子の別れでも親が先に亡くなり子

供が残ることは同じ無常ではありますが自然の道理ですからやむをえませんしかし、

老いたる母が生き残って、若い子供が先立つのはあまりにも哀れで神や仏がうらめしく

思われます。どうして親を、子供の代わりに死なせないで生き残らせ、このように歎か

せるのであろうかと悲しくてなりません。思慮分別のない畜生でも子との別れは堪えが

たいものです。竹林精舎のきじは子を助けるために卵を抱いたまま焼死し、鹿野苑の鹿は

子をはらんだ雌鹿のために、王の前に身を呈したということです。ましてや、思慮分別の

ある人間が子を惜しむのは当然のことです。それゆえ、漢の※ 1陵の母は、王陵が情に動

かされて二心を抱くことをとどめて頭を砕いて死に、唐の高祖の竇皇とう ※ 2后は胎内の子のた

めに腹を破られたということです。これらのことどもを思うにつけ、尼御前もわが子の

姿を見るためには、たとえ火に入っても頭を砕いても惜しくはないと考えるその胸中が

思いやられて涙も止まりません。'(つづく)

【語註】

 ※1 王陵の母:王陵は劉邦に仕えた将軍。項羽は王陵の母を人質にして王陵を従わせ
           ようとしたが、王陵の使者が項羽の元を訪れた際、王陵の母は「漢王に従うよう
           に。私のために二心を持ってはいけません」と使者に伝えさせると、自分は剣に
           伏して自殺した。項羽は怒ってこの母を釜茹でに処した。陵母伏剣。

 ※2 竇皇后:唐の高祖李淵の夫人で、太宗李世民の母。

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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2023/11/30 05:32 】

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