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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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法華経の女人 千日尼御前御返事⑨

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波木井の御影(身延山久遠寺蔵)

千日尼御前御返事せんにちあまごぜんごへんじ

 そうえ御消息に云く、「尼が父の十三年はきたる八月十一日」。また云

く「ぜに一貫もん」等云云。あまりの御心ざしのせつに候へば、ありえて

御はしますにしたがひて法華経十巻をくりまいらせ候。日蓮がこいしくをは

せん時は、学乗房がくじょうぼうによませてちやうもんあるべし。この御経をしる

しとして、後生にはおんたづねあるべし。

 そもそも去年今年こぞことしのありさまはいかにかならせ給ひぬらむと、をぼつ

かなさに法華経にねんごろに申し候つれども、いまだいぶかし(不審)

く候つるに、七月二十七日の申の時に阿仏房を見つけて、尼ごぜんはい

かに
、こう入道殿はいかにとまづといて候つれば、いまだやま(病)

、こう入道殿は同道どうどうにて候つるが、わせ(早稲)はすでにちかづき

ぬ、
こ(子)わなし、いかんがせんとてかへられ候つるとかたり候し時

こそ、盲目の者の眼のあきたる、死し給へる父母の閻魔宮えんまぐうより御をとづ

れの夢の内にあるをゆめにて悦ぶがごとし。あわれ球究ふしぎなる事か

な。これもかまくらも此方こなたの者はこの病にて死ぬる人はすくなく候。同

じ船にて候へばいづれもたすかるべしともをぼへず候つるに、ふねやぶ

れてたすけぶねにへるか。また竜神のたすけにて事なく岸へつけるか

とこそ不思議がり候へ。

【現代語訳】

 法華経を頼り霊山浄土へ

 そのうえ、お手紙によると「尼の父上の十三回忌が、来たる8月11日」とのこと、ま

た「その供養に布施として1貫文を送る」とのこと。あまりに御心ざしが尊いことであ

るので、手元に置いてある※ 1華経十巻本を贈呈することにしよう。日蓮を恋しく思う時

は、※ 2乗房にこの経を読ませて御聴聞なさい。この御経を証明書として、後生には霊山

浄土へ尋ねて来られるがよい 

 さてそれはともかく、去年から今年にかけての疫病流行のありさまで、どのように暮

らしておられるかと、心配のあまり法華経に無事であることをねんごろに祈願していた

が、今だに不安な気持でいたところ、7月27日の午後4時頃に、阿仏房が到着したのを

見て、「尼御前は無事でおられるか」「国府※ 3 こう入道殿はお元気か」と真っ先に聞いたとこ

ろ、「まだ2人とも病気にもかからず元気で、ことに国府入道殿は、一緒に途中まで来

たが、早稲の取り入れ時期になってしまったので、代りに農事をしてくれる子がいない

から仕方なく引き返して行かれた」と阿仏房が答えた時は、まさに眼の不自由な者が眼

が見えるようになったような、また亡くなられた父や母が閻魔の宮から夢の中へ訪れて

きて会うことができたような悦びであった。まことにまことに不思議なことであった。

身延山でも鎌倉でも、われわれの関係者には疫病で亡くなる人は少ない。例えば同じ船

に乗り合わせていた場合、船が沈めば助かる人はなく、皆ともに海へ沈むことになるの

だが、船が難破しても助け船に遇ったか、または竜神の助けによって、無事に溺れず岸

へたどり着いたようなもので、不思議なことである。(つづく)

【語註】

 ※1 法華経十巻:法華経はふつう一部八巻といわれているが、開経の無量義経一巻
            と、結経の観普賢経一巻をあわせると十巻になる。

 ※2 学乗房:佐渡の一谷に生まれ、最初は真言宗の僧であったが、佐渡流罪中の日
            蓮と出会い、日蓮の弟子となった。一の谷入道一家との関係が深い。日蓮が鎌
            倉へ戻った後も、佐渡の信徒の信仰指導に当たっていて、佐渡の中心的存在で
            あり、法華堂(現在の妙照寺)を建てている。日静と名乗り、実相寺を建立し
            て布教した。

 ※3 国府入道:佐渡の国の国府に住んでいた。流罪中の日蓮に帰依し、夫婦そろっ
            て種々の物を供養して日蓮を外護した。日蓮が身延に入山した後も、佐渡から
            日蓮を訪ねている。

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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2024/02/17 05:38 】

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