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なまぐさ坊主の聖地巡礼

プロフィール

ホンジュン

Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
 毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。

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法華経の女人 月水御書⑤

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波木井の御影(身延山久遠寺蔵)

月水御書 がっすいごしょ

 又御消息の状に云く、日ごとに三度づゝ七の文字を拝しまいらせ候事

と、南無一乗妙典と一万遍申し候事とをば、日ごとにし候が、例の事に

成て候程は、御経をばよみまいらせ候はず。
拝しまいらせ候事も一乗妙

典と申し候事も、そらにし候は苦しかるまじくや候らん。それも例の事

の日数の程は叶うまじくや候らん。いく日ばかりにてよみまいらせ候は

んずる等云云。

 此の段は一切の女人ごとの御不審に常に問せ給ひ候御事にて侍り。又

いにしへも女人の御不審に付いて申したる人も多く候へども、一代聖教 しょうぎょう

にさして説れたる処のなきの故に、証文分明 ふんみょうに出したる人もおはせ

ず。

 日蓮ほぼ聖教を見候にも、酒肉五辛 ごしん婬事 いんじなんどの様に、不浄を分明に月

日をさしていましめたる様に、月水をいみたる経論を未だかんがへず候也。


世の時、多く盛んの女人尼になり、仏法を行ぜしかども、月水の時と申

して嫌はれたる事なし。

 是をもて推し量り侍るに、月水と申す物は外より来れる不浄にもあら

ず、只女人のくせ(癖)かたわ生死の種を継べきことわりにや。
長病 ながわずらい

様なる物也。例せば屎尿 しにょうなんどは人の身より出れども能く浄くなしぬれ

ば別にいみもなし。是のていに侍る事。されば印度・尸那 しななんどにもい

たくいむ(忌)よしも聞えず。

 但し日本国は神国也。此の国の習として、仏菩薩の垂迹 すいじゃく不思議に経

論にあひに(相似)ぬ事も多く侍るに、是をそむけば現に当罰あり。

委細に経論を勘へ見るに、仏法の中に随方毘尼 ずいほうびにと申す戒の法門は是に当

れり。此の戒の心は、いたう(甚)事かけ(欠)ざる事をば、少々仏教

にたがふとも其の国の風俗に違ふべからざるよし、仏一の戒を説き給へ

り。
此の由を知ざる智者共、神は鬼神なれば敬ふべからずなんど申す強

義を申して、多の檀那を損ずる事ありと見えて候也。若し然らば此の国

の明神、多分は此の月水をいませ給へり。
生を此国にうけん人々は大に

忌み給べき歟。

【現代語訳】
月水の時と申して嫌われることなし

 また御消息のお手紙には、日ごとに3度ずつ※ 1つの文字を拝しておられることと、※ 2

無一乗妙典と一万遍唱えることとを日ごとにしていますが、例の事になっている間は御

経は読みません。拝することも一乗妙典と唱えることも、暗唱することはよろしいので

しょうか。それも例の事の日数の間はいけないのでしょうか。何日ほどで読んだらよい

のでしょう、とあります。

 この件はすべての女性ごとの不審で、常に問われることでございます。また昔も女性

のご不審について申している人も多くおられます。

 ※ 3代聖教にさして説かれているところはありませんので、証文を明らかに出した人も

おりません。
日蓮がおおよその聖教を見たところ、酒肉・※ 4辛・※ 5事などのように、不

浄をはっきりと月日をさして禁じているように、※ 6水を忌む経論をいまだ検討していま

せん。

 釈尊が在世の時、多くの若い女性が尼になり、仏法を修行しましたが、月水の時とい

って区別はしておりません。このことから考えると、月水というものは外より来た不浄

でもなく、ただ女性特有のもので、生死の種を継ぐべき道理でしょう。また長い病のよ

うなものです。例えば屎尿などは人の身より出るが、よく清くさえすれば、別に嫌うも

のでもありません。これと同じことでしょう。従って
、インドや中国などでもそれほど

嫌うとも聞いていません。

 ただ、日本国は神国です。この国の習慣として、(神は)仏・菩薩の※ 7迹として不思議

なもので、※ 8論にあわないことも多くありますが、これに背けば現に罰があります。委

細に経論を考えますと、仏法の中の※ 9方毘尼という戒の法門がこれに当たります。この

戒の心は大きく違わなければ、少々仏教に違っていてもその国の風俗に違うべきではな

いと仏が一つの戒を説かれたのです。
このことを知らない智者たちは、神は鬼神である

から敬うべきではないなどという強硬な意見を言って、多くの檀那を損なうことがある

ようです。もしそうであるなら、この国の神々は、多分はこの月水を忌むので、生をこ

の国に受けた人々は大いに忌むべきでしょうか。(つづく)

【語註】

 ※1 7つの文字:南無妙法蓮華経の7文字のこと。

 ※2 南無一乗妙典:南無は、サンスクリット語のナマスの変化したナモーを音写し
            たもので、「~敬礼する・帰依する」の意味。その妙法蓮華経が、あらゆる人
            の成仏を可能とするする一乗一仏乗の教えを説く最勝の経典ということで、
           「一乗妙典」と置き換えて、「南無一乗妙典」としたのであろう。

 
※3 一代聖教:釈尊の一代で説かれたとされるすべての教え。

 ※4 五辛:辛味や臭気の強い5種類の野菜で、ねぎらっきょうにらにんにくはじかみのこ

        と。薑の代わりに野蒜のびるを挙げる経典もある。情欲・憤怒を増進する食べ物とし
            て、仏教では食べることが禁じられた。

 
※5 淫事:男女の交合のこと。

 ※6 月水:月経のこと。

 ※7 垂迹:仏教と神道とが結びついて生れた思想で,仏や菩薩が衆生を仏道に引き
            入れるために,かりに神々の姿となって示現すること。

 ※8 経論:三蔵の中の、律蔵を除く経蔵と論蔵。

 ※9 随方毘尼:仏法の根本の法理に違わない限りり、各国・各地域の風俗や習慣、
            時代ごとの風習を尊重し、随うべきであるとした教え。随方随時毘尼ともい
            う。毘尼はサンスクリットのヴィナヤの音写で、律(教団の規範・規則)の
            意。仏法では、正法という根本基準を立てた上で、成仏・不成仏という仏法の
            根本原理に関する事柄でなければ、世間一般の風俗・規範を尊重し用いてい
            く。
 
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テーマ:仏教・佛教 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2024/04/16 05:33 】

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