なまぐさ坊主の聖地巡礼
プロフィール
Author:ホンジュン
日蓮宗の小さなお寺の住職です。
なにしろ貧乏なお寺ですので、松井秀樹や本田圭佑で有名な星稜高校で非常勤講師として2018年3月まで世界史を教えていました。
毎日酒に溺れているなまぐさ坊主が仏教やイスラーム教の聖地を巡礼した記録を綴りながら、仏教や歴史について語ります。
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ブッダを知りませんか?
ブッダはムリガダーヴァに向かい静かに歩みを進めます。ブッダの45年間におよぶ伝道の旅の始まりです。
ムリガダーヴァは現在はヴァーラナシー郊外のサールナートです。ブッダガヤからサールナートまでは300キロほどあるから、おそらく10日あまりかけて歩いたんだろうね。 その途中でブッダはウパカという人物に呼び止められます。ブッダの姿があまりにも神々しかったんで、声をかけずにいられなかったんだね。
「あなたは光り輝いています。誰を先生として出家したんですか?誰の法を信じているんですか?」
ブッダは答えます。
「わたしはすべての勝者にして、すべての智者なり。一切を棄てて、すべてを離れ、渇愛もつきて解脱したのだ。そのことは自ら悟ったもので、誰かを師としたものではない。わたしは正覚者にして、心は清浄寂静なり。いままさに法輪を転じようとしているところだ。すなわち不死の鼓を打とうとしているのだ」
「法輪を転じる」というのは、車輪が転がっていくようにブッダの説く最高の真理が広まっていくということで、ブッダの説法のことだよ。覚えておいてね。
ブッダの言葉を聞いたウパカは、「あっ、そう」とひとこと言っただけで、その場を去ってしまうんだ。なんと、もったいない。ブッダの弟子第一号になれたかも知れないのにね。きっと、ブッダの言ってることがチンプンカンプン分からなかったんだね。
その後、歩みを進めたブッダはサールナートにやって来るんだけど、当時は鹿野苑【ろくやおん】と呼ばれていたんだ。名前のとおりたくさんの鹿がいたんだろうけど、「仙人の集まるところ」とも呼ばれていて、たくさんの修行者が集まっている場所だった。 だから、現在でも仏教徒だけではなく、ヒンドゥー教徒やジャイナ教徒の巡礼地になっている。
東晋の僧法顕【ほっけん】は『仏国記』に、ここに僧院があったことを記し、唐の僧玄奘【げんじょう】は『大唐西域記』に、鹿野伽藍【がらん】は8つに分かれていて、1,500人の僧が学んでいるのを見たと伝えている。その伽藍はイスラーム教徒に破壊されてしまったんだけど、1905年から発掘されて、現在は遺跡公園になっている。
この発掘調査の時に、アショーカ王が建てた石柱とその柱頭が発見された。石柱は残念ながら折れてしまってたんだけど、見事な柱頭は現在サールナート考古博物館で見ることができるよ。
世界史の授業で習ったと思うけど、4頭のライオンが背中合わせで立っている、ギリシア彫刻の影響を受けた見事な像だ。インドが誇る彫刻で、現在この四頭獅子像はインドの国章となっている。ライオンの足もとに車輪が彫られてるけど、これがさっき話した法輪だ。アショーカ王柱に法輪が刻まれているということで、このサールナートがブッダの最初の説法地であることが証明されたんだ。この法輪はインドの国旗の真ん中に描かれてるから、あとで確認しておいてね。
話が歴史のほうに逸れちゃったけど、もとに戻そう。さて、鹿野苑にいた昔の修行仲間だけど、コンダンニャ、バッディヤ、ヴァッパ、マハーナーマ、アッサジの5人だ。ブッダが遠くのほうからやって来るのを見つけた5人は、「おいおい、堕落した奴がやって来たぞ。努力をやめ、贅沢に走った奴なんかに挨拶なんかするなよ。迎えに行くんじゃないぞ」と話し合った。ところが、どうだろう。ブッダが近づいて来ると、5人はじっとしていられなくなり、いそいそと立ち上がると、ブッダのもとへ走り寄って、うやうやしく礼拝してブッダを迎えたそうだ。ブッダがよっぽど凄いオーラを発していたんだろうね。5人がブッダを迎えた場所には現在チョーカンディー・ストゥーパ が建っている。上部の八角形の塔は1588年にムガル帝国のアクバル帝が父フマユーン帝のサールナート訪問を記念して建てたもんだそうで、仏教とは何の関係ない。
チョーカンディー・ストゥーパ から800メートルほど離れたところにサールナート僧院跡があり、広さがなんと16,000坪。東京ドームよりもやや広め。サールナート僧院跡の中でもひときわ目を引くのが、高さ34メートルのダメーク大塔。グプタ朝時代の5世紀に建てられたもののようだが、イスラーム教徒の破壊により痛ましい姿になっている。ダメーク大塔の建つ場所こそブッダが5人の修行者に初めて説法した場所と伝えられている。
「人もし生きること百年ならんとも、不死の道を知ることなければ、この不滅の道を知る人の、一日生きるにもおよばざるなり。たとえ命の限り師にかしづくとも、心なき人は正法を知らざるべし。匙は器につけども、その味を知ることなきがごとし。」(『法句経』)
ブッダの獅子吼の始まりだ。(つづく)
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